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ザウター 113 センターピン調整 - 2007.10.19 Fri

ザウター 113 ようやくアクションの修理の方が終わりました。

その途中経過ですが、アクションの動きはすべて円運動で成り立っています。
ということは円の中心、つまり軸があるわけで、その軸の動きがスムーズかどうかをしっかりチェックしないと、88鍵そろったタッチになりません。

その円運動が硬いときは削って動きやすくして、柔らか過ぎのときは太い軸に交換。
この軸となるピンが1台のアクションでアップライトだと約330カ所あります。
この動きをすべて同じ感触でそろえるのですから、ちょっと気の遠くなる作業ですが、これが肝心です。

20年以上やっていてもこの作業は難しいです。
その大きな理由は
1.今はよくても何年後かには変化する。
2.木の変化は環境、材質で違ってくるので変化の先読みが難しい。
3.クロスの材質(つまり感触)が年代、メーカー、製造国で違う
4.不具合で技術者が塗った薬品のしみ込んだものはもっと厄介


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センターピンを抜いて硬さを調べ、硬いときは削ります。
使用とするセンターピンよりひとサイズ細いセンターピンにヤスリでキズを付け、それで削ります。

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入れようとするセンターピンと穴との感触をチェック。

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入れて、

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差し込んで長い部分を切って、バリを削っておしまい。



後はピアノに入れて調整です。
次回は本体の調整です。

ザウター 113 アクション分解 - 2007.09.09 Sun

ザウターのアクションの修理に取りかかりました。
スタッフの水野君と一緒に30年経ったピアノのエンジンをすべて分解して動きのチェックをします。
88個の部品が4列これらを分解するだけでも時間がかかります。
スクリュー(ネジ)の色も白くなってしまっています。
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アクションの骨組みです。
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すべて分解した部品を並べてチェックです。
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部品の赤く丸いところの真ん中に真鍮のピンが刺さっています。
部品すべて円運動になっていて、この赤いクロスと、ピントの間に摩擦があるのですが、この摩擦が大きければ動きが硬くタッチが重い。
なさすぎるとガタガタになって動きに雑音が出てしまいます。
これらを一つ一つチェックしていきます。
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アクションの骨組みの金属部分を磨きます。
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金属の長い棒は右ペダル(ダンパーペダル)に関係しています。
ここもたいがい汚くなっているはず。
案の定、ホコリだらけの真っ黒になっていました。
これをほっておくと、ある部品の極度の摩耗につながります。
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部品の動きのピンを抜いたもので、これらは動きが硬かったのでリーマーで広げて、適度な摩擦に調整します。
ここによく油などを塗って動きをよくするやり方をやる技術者もいますが、この油によって年数が経つと、よりべとべとになったり、硬化して動きが悪くなったりするのを見て、修理の修理をすることも多々あります。
一番肝心な部分ですね。
どこまで細かい仕事と、時間とつきあっていけるかです。
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ネジも磨くときれいになって30年経っているとは思えないほどです。

右:磨く前
左:磨いた後
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ちょっと気の遠くなるような作業ですが、これをチェックしているのとしていないのでは最終弾き手が感じる、タッチが重い、軽いに大きく影響してきます。
中古ピアノの一つのポイントでもあると思います。
(新品でもひどいのはありますが)

これからどんどん良くなっていく楽しい?作業です。
水野君がんばってください。



うたまくらピアノ工房での作業内容
http://www.utamakura.co.jp/piano/ryoukin.html

ザウター バロック113 塗装完成! - 2007.08.13 Mon

ようやくザウターの塗装が完成しました。


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鍵盤が入っていませんが、、、

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再塗装はどうしても色が濃くなりがちなのですが、そうすると微妙な木目が見えにくくなるのでもったいない。
極力薄い色でしかも日本の家屋に合うように。



後は中の修理をどんどん進めていきます。







株式会社うたまくら
http://www.utamakura.co.jp/

ザウター でジャズを! - 2007.08.10 Fri

今日伺ったT様は大変ジャズがお好きで、絵が好きで、芸術が好きで、、、
その一部屋にザウターが置かれています。
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このメーカーは190年近く経っている老舗で、しかも直系で経営されている珍しいメーカーです。
以前このザウターの社長もよくうたまくらに来ていただきました。
T様もザウターさんによろしくと言われるぐらい、気さくな社長です。

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またもう一つの特徴は複雑そうな機構を簡単な装置で、雑音も無く作ってしまっているところです。
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マフラーペダルは結構複雑な装置になりがちですが、これはいとも単純な作りです。
これでしっかりと機能が果たせています。

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そしてアーベルハンマー
昔レンナー社でハンマーを製作していた人が独立しました。

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しっかり掃除もして
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ベダルも磨いて




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出来上がり。
この輝く音色でT様はお好きなジャズを弾かれています。
私も年に一度お会いできるのを楽しみにしています。





株式会社うたまくら
http://www.utamakura.co.jp

ザウター 113 猫足 - 2007.07.10 Tue

この数日前にピアノが入ってきました。
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ザウター バロック 113
ドイツ製 1973年製

これからこのピアノの修理調整に入っていきます。
このピアノは1819年創業という200年近いメーカーで、業界では珍しくなった直系での経営をされています。
今のザウター社長もよくうたまくら社に来てくださいました。
弦の響きが美しいピアノですが、このピアノは疲れが見えるので修理です。

まず外装の再塗装、

アクションを分解して動きのチェック、
そして組み立て、
鍵盤関係の消耗品交換
整調、
整音、

鍵盤重さ調整(鉛調整)かなり重いんですよね。

これらをうたまくらスタッフとともに行います。
画像できるだけアップしていきます。

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プロフィール

arakipiano

Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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2007年10月19日 (金)
ザウター 113 センターピン調整
2007年09月09日 (日)
ザウター 113 アクション分解
2007年08月13日 (月)
ザウター バロック113 塗装完成!
2007年08月10日 (金)
ザウター でジャズを!
2007年07月10日 (火)
ザウター 113 猫足
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