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タローネ Vol.3 サウンドボード - 2007.09.04 Tue

前回、書かせていただいたように今回はタローネの響板の話をしたいと思います。




響板は各メーカーピアノの心臓部分でもあるのでここにいろんな技術が結集されています。
スタインウェイの工場で研修していたときも、毎日通っても響板作製の工場には入らせてくれませんでした。
小さいメーカ-などは響板メーカーに作らせているのも多いのですが、このタローネは一台一台手作りです。

真上から
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低音側の端がえぐられているのがお分かりでしょうか。
響板をぐるっと一周しています。
こういう作りをしているメーカーはドイツのザイラー社があります。


拡大写真
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このえぐりをどのように作っていると思いますか。
今の技術であればルーターなどで削り落としていくものですが、タローネはスクレーパー(金属の板)をカンナで削るように少しずつ落としていきます。
ピアノの前足を2本取り外し、鍵盤側を地面に付け傾けた状態で削っていきます。
(もっと楽な方法がありそうなものですが)

イメージ 3

それも中心が円状になるように。
タローネは中心が円状で厚みを増してボリュームが出るように、響くように。
スタインウェイなどでも中心に行くほど響板の厚みを厚くしています。

イメージ 4

響板裏側。
スタインウェイのサウンドベルに近い用途のもの。
鉄骨の高さ、つまり弦圧を調整することができるように。
実はこの金具はファツィオリにも同じものが使われていました。
実際タローネの工場が無くなってから職人たちがファツィオリに行ったのは有名ですが。
(ファツィオリ氏自身タローネとは一切関係がないと言っています)


イメージ 5

支柱も中心に集まっています。

イメージ 6

そして響板の表側の円状に削られている弧の位置に裏側からはしっかりと木枠が取り付けられています。
振動する部分、しなくてよい部分を分けています。





こういう手間ひまかけていれば良いものができるかもしれませんが、採算の面では厳しかったのではと思います。
でもこのこだわりが音になっている訳ですから、これを体感してしまった以上伝えていかなければと思うのです。
ここから出てくる音はいかようにも自分の染めたい色に染まってくれるような音です。



詳しくはうたまくらのサイトでも紹介していますのでご参照ください。


うたまくら工房企画 「タローネの秘密」
http://www.utamakura.co.jp/piano/kikaku/070527/kikakutallone2.html

タローネ Vol.2 - 2007.08.19 Sun

今回はタローネの新生中のことを少しお話しします。

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まず、張弦を行ったときのことです。
見るからに他のピアノと違って、チューニングピンの刺さっている周りの部分の木部、ピンブッシュの径が大きいのです。

イメージ 4


そして何とも言えないピン味(業界用語:チューニングピンを回して操作する感触)で、きれいな繊細な調律が可能だったので、このままの状態を保ちたいと思いました。

よくオーバーホールで弦、ピンの交換がありますが、必ずオーバーサイズでの交換になるのでそう何回も交換するわけにはいきません。
なるべく状態がよければそれを保っておきたいと思っています。
よってこのタローネはチューニングピンをそのままに、張弦のときに弦コイルを作ってオリジナルのチューニングピンに巻き付ける方法を採用しました。

通常の張弦よりも時間がかかって結構大変でした。
特に太い弦はコイルを作るのも指先が痛くなります。

そしてタローネの最大の特徴である鉄骨の上に乗っている真鍮製の独立アリコートブリッジです。
写真参照。
イメージ 2

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次高音、高音で真鍮の厚みが違います。
一音一音独立していることで、求める倍音の調整が可能です。
また、一音につき3本の弦が通常張られていて、それが隣の音に干渉しない方法を採用しています。
ベヒシュタイン、ベーゼンドルファー、グロトリアンなど他の方法で同じ効果を求めている物もあります。

またこの位置が微妙でで、通常きれいな音階になっているのが、そうではない宇宙的な音階になっていて、計算ができないピアノでした。
でもこんなところに秘密が隠されているのだと思います。

他のメーカーは一音づつの調整はできません。
でもスタインウェイは多少の誤差はあっても、ほとんど良い位置にきています。
他のピアノもいろいろと調べましたが、これはどう考えても画一的な物がずれていてそれを現物合わせをせず直していないピアノや、全くそういう音を求めない、フェルトで止めた物などがほとんどです。

次回は是非響板、裏側のお話をしたいと思います。





うたまくら工房企画 「タローネの秘密」
http://www.utamakura.co.jp/piano/kikaku/070527/kikakutallone2.html








株式会社うたまくら
http://www.utamakura.co.jp

タローネ Vol.1 - 2007.08.17 Fri

うたまくらの原点でもある新生ピアノ。
これは古いから良いということだけではなくて、古いからこそ現代でも楽器として使えるように、現代の技術で新しく生まれ変わらせ、ピアノが楽器として人とかかわっていけることを取り組んでいます。

今まで新生されたピアノを少しずつ紹介させていただきます。
うたまくらのサイトでも紹介していますが、より写真も含め中身の話もできればと思います。

このピアノは私がイタリア時代に一緒に仕事をしていた仲間、アメリカ人のトーマス・グッドマン氏が紹介してくれた物です。
イタリアに行ってすぐ、勤めていた楽器店の年配の技術者が
「イタリアに来たのなら絶対、TALLONE(タローネ)を見なきゃダメだ。」

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その頃の私はピアノのメーカーなんてほんの数社しか知りません。
ましてや聞いたことも無い名前で、日本と縁が深いということも全く知りませんでした。
そして、「イタリアに来てもこのピアノに巡り会えたらいい方だぞ。」
歴史的なことも含めこの業界に足を踏み入れたばかりの未熟さを思い知らされました。

イタリアでも若い人はほとんど知りません。
幻のピアノと言って良いのではないでしょうか。

そしてグッドマン氏から手放す人がいるという情報を教えてくれ、縁あってうたまくらにやってきました。

イメージ 2


このピアノは象牙鍵盤でもあるのですが、実はこの象牙が原因で日本に入るときの審査で苦労したのです。
1975年にワシントン条約で象牙の輸出入が禁止になり、1975年以降のいっさいの象牙製品が取引できなくなりました。
このタローネはワシントン条約以降に作られているので、このままだと輸入できないのでグッドマン氏に頼んで泣く泣く象牙を剥がして送ってもらいました。

日本に着いて行った作業は
まず、同じ年代の頃の象牙を探してこのタローネの品格に合う物にしました。
ハンマーが消耗しきっていたので、同じメーカーの同じサイズの物に交換して、整音しました。
(新生前の疲れきった音からピアノの本質を感じ取って、新たな音作りをしました)
弦も金属疲労などで切れていたので張り替えてます。
鍵盤関係の消耗部分も交換して、他気がついたところ部品交換修理を行いました。

イメージ 3



中身の詳しいところは次回ご紹介します。
お楽しみに!





詳しくはうたまくらのサイトでも紹介していますのでご参照ください。


うたまくら工房企画 「タローネの秘密」
http://www.utamakura.co.jp/piano/kikaku/070527/kikakutallone2.html







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Author:arakipiano
32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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2007年09月04日 (火)
タローネ Vol.3 サウンドボード
2007年08月19日 (日)
タローネ Vol.2
2007年08月17日 (金)
タローネ Vol.1
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