ピアノ弾き語録Vol.1 - 2008.05.15 Thu
調律の仕事と言うのはピアノと向かうわけですが、その向こうには必ず、そのピアノを弾く人がおられます。
昔から思っていたことですが、今までにいろんな方の仕事をさせていただきましたその中で、特に印象の残った方のお言葉と言うのが大変興味深くて、奥が深くて、はたまた意味不明で、それらがまた、面白いのです。
そこでこれから、特に印象に残った語録を出させていただこうと思います。
ピアニストでも、一般の方でも、子供さんでも技術者でない限り、鍵盤を弾いた感触での言葉の表現です。
今日伺ったK様。
小さいグランドをお持ちで、より弾きやすくする方向での調整の中でのお言葉。
「鍵盤が鉛調整により物理的に軽くなっていても、弾き心地は重い。」
う~んどういう調整をしようか?
「鍵盤の下の方で揺さぶる感じ。」
鍵盤が一番下に降りた時はもう音が鳴っているので、揺さぶっても音は揺さぶられません。
でも、意味は感じは大変良くわかります。
そして、極めつけ
「小さいグランドですが、弾いていて大きいグランドのようにハンマーが遠く奥に感じる調整はできますか?」
「鍵盤を長く作ってください。」
この一言がK様のピアノに対する思いの一言だと思いました。
最後はお互いにいろんな発想が出て大変盛り上がっていきました。
技術者とすればそれぞれのお言葉を頭の中で技術に置き換えて考えるわけですが、言葉はいろんな言い方ができますが(特に日本語は難しい!)、技術はそんなに多くはありません。
いやー困った。
でも楽しい!