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一日調整 YAMAHA C3 - 2015.01.21 Wed

先日伺ったお客様のピアノがYAMAHA C3の11年経ったものでした。
3週間ほど前に初めて調律をさせていただき、今のお部屋での音のバランスが悪いのを感じました。
お部屋の音響の問題もありますが、それ以前にピアノの土台の調整がずれているのが原因で、細かな調整、整音ができない状態でした。
1日時間を取って頂いて土台からやり直す調整を行うことになりました。


・ピアノのハンマーのフェルトの消耗。
・鍵盤とピン類との摩擦の大きさ
・ハンマーの下にある部品の位置のズレ、調整のズレ
・ダンパーのガイドレールクロスがきつくて音が止まらない現象(これは特にヤマハに多い)。
・鍵盤の重さのバラつき。




職業 - 2014.07.23 Wed

このピアノ調律師という仕事を選んで30年が経ちます。
今、この職業を選ぼうとしている次の世代、選んでこの世界に飛び込んだ若い技術者の方々が私たち世代の動きを見ています。

そこでピアノ調律師というのは、どこまで魅力的な仕事なのかを示さなければいけないと思いました。
それは電気の楽器があふれる中、天然の木でできている生の楽器の良さを一番知っている調律師が広めないといけないと思います。
技術の仕事であって、技術以上の「人間」というのが評価される仕事でもあります。
技術はあってあたりまえ、それに裏付けされる人間の核が備わっていないと生き残っていけないと思います。






ピアノの整音でピアノの移動? - 2013.04.12 Fri

先日ご依頼のあった作業のことです。
いかにも今のピアノ業界を表している事柄でした。

昨年購入した新品ピアノ(アップライト)の整音をしてほしい、というご依頼でした。
購入後からどうしても低音の音量が大きくバランスが悪いということで、2ヶ月前に調律をしたばかりということですが、その時の調律師にも相談して直して欲しいと伝えたそうです。

しかし、思ったように直らなくて、また自分の感覚が正しいかの疑問も生まれ、しっかりと見ていただきたいということでご依頼頂きました。

お客様のピアノを弾いている状況
1.6畳間にほとんどピアノ以外物を置かれていないお部屋
2.マンション住まいのため周りに気を使われピアノの後ろに防音用のマットを取り付けられている
3.50の手習いということで始められて1年が過ぎた
4.購入後サイレントを取り付け使用
5.普段はサイレントでスピーカーから音を出してピアノを弾いている


ピアノに対する要望
1.低音がうるさいので整音してほしい
2.ダンパーペダルが響き過ぎるように思う



技術セミナー ダンパー調整 - 2011.11.20 Sun

できるなら、触りたくない。
触って音が止まらなくなるなら、触らないほうがいい。
ドツボにはまる。

この意見は私もよく経験したことでした。
でも、変化して機能が不十分のダンパーを何とかできるようにしたい、と思った20代に工場で嫌ほど訓練してきたのが、今活かされています。

基本的にダンパーは難しいのですが、それをもっと簡単に早く、また日本のがんじがらめの考えから解きほぐせれば、こんなに簡単で早くできる調整を、またやりたくなってくると思ってもらうのが今回のポイントでした。
PB190034.jpg


また、工具もポイントです。
専門の道具もそうですが、一般の道具も”良い道具”が重要で、それを実際に使って再認識されたと思います。
「普通に切れるハサミ」ではなく「きれいによく切れるハサミ」です。

ダンパーフェルトなどの繊細なフェルトは切れるハサミを使うだけではなく、きれいに良く切れることが重要です。
これで音の止まり具合にも影響しますので。



カワイの整音 - 2009.11.23 Mon

きょう伺ったI様のピアノはカワイのグランドでした。
20年ほど経っていますが、状態が思わしくないため、依頼を頂きました。

以前の調律師さんの許せない所
1.ピアノの掃除を一切していない、そのため虫食いがあったのをそのままの状態で弾かれていた。
2.調律以外なにもしていないので、アクション、ダンパーなどの整調が土台からずれている。
3.弦の錆もそのまま。

これらを見て、「このピアノはこんなもんですよ。」と言って帰る神経。
信じられませんでした。
これは絶対なんとか良くしなくては。





共鳴 - 2009.10.09 Fri

共鳴と一言で言ってもいろんな種類の物があるので、一概に言えないのですが、最近体験したことをお伝えしたいと思います。

共鳴とは、ある同じ振動数のときにその振動に反応してもう一つの物が振動しだすことです。

例えば太鼓をドンと叩くと、窓ガラスが、ビリビリと響くことです。
どれだけ叩いても同じ振動数で響く物が無ければ共鳴しません。

ところで今回は買ってまだ数年というカワイのグランドピアノで起きた現象です。






硬化剤と軟化剤 Vol.2 - 2009.07.05 Sun

「軟化剤を塗られました。」
お客様からあまり聞きなれない言葉でした。
軟化剤?どんな状況のピアノに使うの?
使用した事の無い私にとっては、未知の領域でした。

依頼されたお客様は、YAMAHA C1をお持ちで、購入されたときから、音が硬いと感じていたそうです。
最後の調律のときに、その時の調律師に話すと、整音をしましょう、と言う事になったそうです。
そして、音が硬い中音域に軟化剤を塗って針を刺して、1時間ほどの作業で終わったそうです。

その結果は、、、




硬化剤と軟化剤 - 2009.07.02 Thu

ここ数日の仕事で、硬化剤を必要とするピアノと、軟化剤が塗られたピアノに出会いました。
これらは、整音という作業に用います。

硬化剤:
弦を叩くハンマーフェルトに硬化剤を塗って、フェルトをより硬くし、音量を増し、硬質な音色を作ります。
通常は硬化剤を塗らなくても、圧力をかけてフェルトを木に巻いてハンマーを作っています。

軟化剤:
ハンマーフェルトに軟化剤を塗って硬いフェルトを柔らかくして、音色をまろやかにします。
ただし、これはかなり古くなったピアノに用います。
それはフェルトが硬化していったからです。
最初から硬かったフェルトではありません。


この両極端の共通点は薬品!
今のピアノ、調律師の現状をご報告いたします。




「オリジナル」と言う言葉のマジック - 2008.03.25 Tue

今回ピアノの企画が終わった後に、大反省会を行いました。
今までいろんなピアノを修理、調整してきてそれぞれの最高というものを引き出してきたつもりです。
しかし、今回また新たな発見、というか原点に帰らなければいけない、ということを思い知らされました。

それは、
オリジナル部品をどこまで残すか?
良い音を出すためにはそのオリジナル部品がどこまで必要か?
自分たちがオリジナルで良いのでは?

ピアノには付いているオリジナルの部品というものがあります。
年数が経ったピアノを修理した際、もしくは調整した際、その部品の状態は、今まで使われていた環境で大きく左右されています。
つまり、フェルト類などが

1.湿気た状態

2.かなり弾き込まれて消耗している状態

などがあります。

そのフェルト、特に弦を打つハンマーの状態を見極めるのは非常に難しいです。
1.は
・大きさはたっぷりとあるのに湿気でぶよぶよになっていて、発音が悪い
・音が出にくい
・音が丸すぎる


2.は
・しっかりした音は出ますが、うるさすぎて割れている
・ハンマーの消耗で肉厚が無いため、音にボリュームが無い
・音質が平べったい感じになっている

どこまでオリジナル部品を残し、状態よく音色を作るかが技術者の腕にかかってきます。
また、特に日本では部品がオリジナルでないとそのブランドと認めない、ということを強く言われている傾向にあると思います。
「オリジナル」神話ということになるでしょうか。

極端な例かも知れませんが、
4年ほど前にアメリカに行った時、スタインウェイのあるニューヨークで、修理工房の見学に行きました。
そこでは乾燥地域アメリカ特有の木材割れの修理が多数有り、特に、響板、ピン板など総取り替えなどは日常茶飯事ということでした。
でも、響板をスタインウェイから買おうとすると、良い響板は工場で使われるために、選ばれなかった悪いものしか送ってこないとのことで、しっかり良い材質で作ってくれる響板製造会社から購入するということでした。
ということは、スタインウェイのオリジナル響板ではないということです。

スタインウェイ社の響板の音はしないということですが、平気でスタインウェイとして販売されています。
また、お客様もそれを承知で購入しています。





今回オリジナルハンマーで1年以上様子を見てきたピアノがありました。
修理したては部品がどうしても落ち着かないため、そのピアノ本来の最高のものが出ていないということが多々あります。
時間をかけて落ち着かせるということで、鳴ってくる、音の厚みが出てくるまで待ちましたが、結果出し切れませんでした。
最初の判断を誤ってしまいました。
やはり潤いのある、ボリュームのあるハンマーに取り替えておくべきでした。
ピアノがそう語ってくれました。

と、うたまくらチームで判断してもう一度楽器の最高を出すための作業を行います!
自分たちのオリジナルで勝負です!

自己満足の怖さ - 2008.03.13 Thu

やっと、グロトリアン-シュタインヴェッヒの修理が終わりました。
そこで完成したものを今度の楽器企画に出すために、最終確認も含めて歌枕に弾いてもらいました。
まず、返ってきた言葉が「これだったら普通。楽器から湧き出るものが無い!」

正直ショックでした。
「普通」という言葉が一番こたえます。
ここは普通ではない、と思っています。
でも冷静になって考えてみると、

1.最初のひどい状態からここまで復活させたという、自己満足
2.とにかくある程度鳴るようにした整音技術としての、自己満足
3.外観がきれいになったことでの、ピアノ全部がきれいになったという、自己満足、錯覚
4.忙しい毎日の中で時間を作って、一生懸命やったという、自己満足

いつもこういう風に歌枕の一言で、最終段階でハッと振り返らさせてもらえるのです。

1.よく考えてみると、アクションの動きや鍵盤がスムーズに動くことは当たり前。今ひとつ機敏でない。
2.よく考えてみると、グロトリアンの特徴である、柔らかくても透き通る音が出ていない。
3.よく考えてみると、きれいになっても、34年は経っているピアノ。中の状態を改めて冷静に見ると微調整が必要なところがいっぱい。
4.忙しさに関係なく、自分の中での基準をクリヤーしていれば満足していただけたものを、忙しさということで出来具合を差し引いていました。



技術者、職人が陥りやすいこと、自己満足。
もしくは妥協。



この助言をもらえることはどれだけ大切なことかが、いつも身にしみています。
言われなくても早くできるようにならねば。


再度言われたことの確認と、もう一度このピアノから光るものを発揮できるかを考え、再度作業したら、どんどん良くなる法華の太鼓。(これも自己満足?)
とにかく今の段階での最良を出しました。


展示販売楽器でチェックして、
http://www.utamakura.co.jp/piano/tenji/tenjigaki.html

是非弾きに来てください。

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Author:arakipiano
32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
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