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左手のピアニスト - 2021.06.24 Thu

この1週間で3人の左手のピアニストを見る事になります。
それはたまたまで、なんの繋がりも無いのですが、ご縁なのでしょうか私の中では繋がっています。

先日調律に伺った方が音大大学院生君で1年前からジストニアにかかって利き手の右手に運動障害が起きてしまいました。
初めはその原因がピアノの鍵盤の重さや長さかもということで大きいピアノに買い替えたりしましたが、ジストニアとわかってから次の段階に気持ちを切り替えたとのこと。

しかし、今まで弾けていたフレーズがつまずく、弾けない、弾きたく無い、気力が出ないと言う悪循環。


凄いピアニスト現る! - 2011.06.07 Tue

縁あってお仕事をさせて頂きました。
フランチェスコ・トリスターノ
まだ30歳。

名前はイタリア人みたいですが、ルクセンブルク出身です。

最大の魅力はオリジナル曲で勝負できる所です。
現代曲になるのですが、ピアノからこんな音が出るのか、というくらいのppppを奏でます。



暖かい再会 桜満開! - 2009.04.14 Tue





今日の仕事は思い出深いものとなりました。


時はさかのぼって20数年前、イタリア時代の話です。
イタリア ナポリから船で1時間ほど行ったところに、ドイツ人などの保養地イースキァ島があります。
そこであるホテルでピアノの演奏会がありました。

そこに日本人のピアニストが来られていました。
海老彰子さんです。
海老さんもこんな島に日本人の調律師がいるなんてびっくりされたと思います。
とても気さくで穏やかで、反面演奏はエネルギッシュで繊細で、素晴らしい方でした。
遠い異国に地で同じ日本人が活躍されていることにすごく刺激を受けました。
そこでの仕事が終わって、バスで港へ向かっていたら、ナポリへ帰る船に乗る時間に間に合いません。
「これで帰って!」とタクシー代を頂き飛んで帰ったのを今のことのように思い出します。

こんな出来事をコンサートのトークに名前入りで海老さんが話してくださったのです。
P4100003.jpg
何でもやってもらって当たり前、というアーティストが多い中、大勢のスタッフがあってのコンサートですと、言い切れるところが素晴らしいことだと思います。

演奏もバッハ、ショパン、そしてお姉さんの裕子さんとのデュオでモーツァルト、ミヨー、リスト。
絶妙のコンビネーションでした。

デュオですから2台を朝から完璧に調律していたのですが、リハーサルで弾かれて行くうちもどんどん変化して行って、実はリハーサルでは海老さんのタッチに耐えられなく、調律が結構狂ってしまったのです。
でも立ち会いがあってのコンサート、しっかりとリハーサル後カバーさせていただきました。
本番はうまく行ってホッとしました。

サイン会も一人一人丁寧にされ、本当に人柄が現れていらっしゃいます。
最後にお母様も含めてご家族で写真を撮らせていただきました。
P4100011.jpg
また、どこかでこういう再会があることを願っています。
(左から海老裕子様、荒木、お母様、海老彰子様)


ホールの外では満開の桜が街灯に照らされて光っていました。




海老彰子
東京藝術大学在学中に、第41回日本音楽コンクール(ピアノ部門)で優勝。フランス政府給費を得て単身渡仏。パリ国立音楽院をプルミエ・プリ(首席)卒業後、大学院課程に相当する研究科を卒業。
受賞歴

1975年、第16回ロン=ティボー国際コンクールで第2位大賞。併せて、アルトゥール・ルービンシュタイン賞をはじめとする4つの特別賞も受賞。
1980年、第10回ショパン国際ピアノコンクールで第4位無しの第5位受賞(姉の海老裕子と共に姉妹出場した)。
1981年、リーズ国際ピアノコンクール入賞。
レパートリー

バロック音楽から近代音楽、現代音楽まで幅広い。 特にショパン、リストなどのロマン派ヴィルトゥオーゾ作品やラヴェル、ドビュッシーをはじめとするフランス音楽を得意としており、時として『フランス音楽のオーソリティー』といわれる事がある。 邦人作曲家では、武満徹、大江光など。

アコースティックギターの魅力 - 2008.06.05 Thu

今日調律に行かせていただいたのはアコースティックギターの名手、岸部眞明さん宅。
ブログで実名を出すのはほとんどありませんでしたが、私はこの岸部さんのオリジナリティーあふれる音楽と、ギターの音色、そしてテクニックに魅了されました。
なぜかぐっと近く暖かいものを感じます。
本当に一人で弾いているの、と思ってしまいます。

奥様がピアノを弾かれるので、その調律に伺ったのが数年前。
しばらくぶりの調律でしたが、プロの耳で聞かれるのは緊張します。
しかもピアニストではなくご自分で音を作るギタリスト。

小6の娘が昨年ピアノを辞め、親としては何か音楽に近いことをやって欲しいなと思って、ギターはどうと行ったところ興味を示し、やり始めました。
ギターを奏でる、私は高校のときに指が短いため、押さえきれず挫折しました。(単に不真面目だっただけかも)
ピアノを弾くのと同じくらい憧れていました。

今日の新しい発見はオープンチューニング。
ギターの世界では知られていることなのでしょうが、同じチューニングをする身としては聞き慣れない言葉でした。
弦の音程を変更して、曲に合わせてのチューニングです。

そういえばピアノができる前は2000の調律方法があったと言われていますから、「これは荒木調律法!」と言ってしまえば確立された時代がありました。
中身はちょっと違いますが、決まりきった方法ではない、自由があってのオリジナル。
音楽を聴いて妙に納得してしまいました。


家族で岸部さんファンです。
是非機会があれば聴いてください!

岸部眞明さんのオフィシャル・ホームページです。
http://www.jpp.co.jp/capo/

パバロッティの思い出 - 2007.09.06 Thu

本日パバロッティが天国に召されたと言うニュースが入ってきました。
71歳だったとのことです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070906-00000510-reu-ent

20年前のことですがその時の話を少しさせていただきます。
当時イタリアのナポリで仕事をしていたときにナポリのオペラ劇場、サンカルロ劇場に何年かぶりにパバロッティが来るということで大騒ぎでした。
イタリアきっての世界的テノール歌手。

よく三大テノールに名前が挙げられますが、カレーラスもドミンゴもスペイン人なので、イタリアではなんといってもパバロッティの人気は絶大なものでした。
そしてナポリで歌うカンツォーネ・ナポレターノ!
ナポリ人がこれを聴かないわけにはいけません。

劇場には横断幕で「ナポリにお帰りパバロッティ!」

その仕事で劇場に向かったのですが、凄いセキュリティーで、あまりにも普段着で調律に向かったので「今日は観光はできないよ。」と言われてしまいました。
調律師ということを言うと信じてもらえず、鞄の中身を見て初めて納得してもらえました。

結構取り巻きの多い中、うるさい中の調律でした。
イメージ 1

イメージ 2



オペラ劇場は舞台の奥行きが長いのが特徴です。
しかもサンカルロ劇場は手前数メートルは下っています。
ピアノがまっすぐになりません。
高音側が下がってしまうため、足の下に木の板を敷きます。

そして客の入が最高だったので通常はあまり入れない舞台上にも客席を作ってしまいました。
だいたいがオーケストラのバックでのコンサートが多いのですが、今回はピアノ一本。
ピアニストも大変緊張します。
リハーサル風景。
イメージ 3



運良くその一番後ろの一番端の席でコンサートを聴かせてくれました。
イメージ 4

途中風でピアノの楽譜がめくれてピアノの演奏が止まってしまいました。
すぐ後ろの観客が拾って手で押さえなんとか切り抜けたのですが、もし舞台上に観客がいなければ完全に止まっていたかもしれません。

トレードマークの白いハンカチを持って最後に両手を振り上げ歌いきる仕草を見て、観客はブラヴォーの大歓声。
これがなんといってもイタリア的でしょうか。
最後の1曲だけ後ろ向きで歌ってくれました。

ピアニストとも話をしました、楽譜が飛んだときはどうなるかと思った、と。
一番緊張していたのではないでしょうか。




20年前の思い出です。




病気には勝てなかったかもしれませんが、このように人の心に残るものを彼は残していってくれたのだと思います。



安らかお眠りください。

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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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