企画レポート - 2007.07.31 Tue
素晴らしい感想をお寄せいただきました。
鍵盤の重さ 鉛調整の技術研修 - 2007.07.29 Sun
鍵盤が下がるスピード、上がるスピード、感触、全てが兼ね備えられ最良のタッチに仕上がります。
ワンランク上の調整の秘密に迫ります。
会 場うたまくらピアノ工房
料 金¥3,000.- (税込み)
お 話荒木欣一
対 象技術者(一般の方でご興味ある方も受け付けます)
使用楽器うたまくらピアノ工房展示楽器
YAMAHAのグランドピアノの整調を頼まれて、かなり細かい作業を行うとびっくりした結果になりました。
精度の高い調整を行って、それに伴う繊細なタッチが出来上がると思ったのですが、結果タッチはそろいましたが、鍵盤の重さがバラバラになってしまいました。
つまり、最初から工場出荷時点で鍵盤の物理的重さのバラツキがあって、アクションの調整がきちっとできていなかったのが、その物理的重さのバラツキをオブラートに包んだように曖昧にしていました。
それだけ整調や、アクションの変化で重さが変わってくるのです。
同じようにやっているとコストが上がってしまいます。
鍵盤は1本1本重さが違います。
ハンマーも、アクションも同じく一つ一つ違うために、それに合わせた鍵盤の鉛調整が必要なのです。
特に国産メーカーで物理的重さが重すぎるピアノもよくあります。
よくメーカーでオーバーホールしてもらいました、と言われ見ますが、実際始めより弾きにくくなったと聞くこともよくあります。
たいがい鉛調整がされていません。
特にハンマー交換とセットの作業になるのに完全に省かれています。
国産的な考え方ですと部品は右から左への交換すればそれでよし。
交換だけではそろう物ではありません。
この作業を行うことにより、より高度な整調が可能です。
それによって弾く方の満足度もかなり上がってくるはずです。
お客様にもご案内できます。
ワンランク上の作業を行いませんか。
うまくトリルなど早いパッセージが弾けないとお感じの方、ppが弾きにくいとお感じの方。
ご自分の演奏上の鍵盤コントロールは決してテクニックが未熟だからではありません。
ピアノのせいかも知れません。
ご自分のピアノの鍵盤重さを一度測ってみてください。
右ペダルを踏んだまま10円玉を手前に載せて、何枚で鍵盤がゆっくり下がり始めますか?
それが低音、中音、高音とそろっていますか?
(湿度の高いお部屋、長年調整を行っていないピアノは正確な数値は出ません)
そういう作業が十分できるピアノだとも思います。
ベヒシュタイン 「縁」 - 2007.07.28 Sat
また、気さくな方で、かつ何事も熱い方です。
奥様とそろって本当に仲の良い音楽家族です。
今回はピアノが来て1年経っての変化を見させていただきました。
O様が弾いている楽器を見るといろんなことが見えてきます。
繊細な音が出しにくい状態になっています。
O様とのコミュニケーションで、お部屋には大きすぎる音量と音色をそろえることになりました。
よく練習されていますね。
今では採用されなくなってしまいましたが、この時代のピアノを触ればその木の音が空から降ってくるように感じます。
ピアノの周りのリムも形が特徴的です。
アクションにまでしっかりとブランドと、住所まで刻印されています。
ちなみにフランス、パリ製アクション、シュワンダーです。
すべてがオリジナルというのは楽器として非常に難しい物があります。
使用に耐えられない物は楽器として意味が無いので、それ相応の修理が必要になります。
これからも新しく生まれ変わらせて現代に通じる物を紹介していきたいと思います。
この秋にはこれもある「縁」で(実力です)ドイツの音楽祭に呼ばれてリサイタルをすることになったそうです。
がんばってください。
http://blog.livedoor.jp/hirokoelsch/
ボールドウィン 母の思い出 - 2007.07.27 Fri
昨年うたまくらで修理させていただいたピアノです。
今年72歳で今でもピアノを習われています。
生まれつき心臓の弱かったD様は子供だけで行く学童疎開ができず、縁故疎開をされました。
それが縁でヴァイオリンを始めたのですが、あまりの音の凄さにお父様から「もう辞めてくれ!」と言われ、自分も自身の音にびっくりしたそうです。
高校まで7~8年いた香川での音楽の思い出が、強烈に心に残っていました。
娘さんが弾いていても、やはり自分が買ったピアノという意識が強かったそうです。
そして、ピアノを弾くのが夢だったそうです。
そのとき、生んでくれた母を見るために自分は今生きているのだと、思いました。
移動のお風呂を部屋でするのですが、それがピアノの置いてあるリビングでの入浴です。
お母さんとピアノが一緒にお風呂に入っているような気がして、ずっとピアノを気にしていました。
ここでの環境がピアノを錆びさせ、修理になってしまったようです。
寝たきりのお母さんはほとんど会話もできません。
なにげに弾いた唯一片手で弾ける荒城の月をポロンポロンと弾き始めると、なんとお母さんが荒城の月を歌い出したのです。
D様は涙が止まりませんでした。
移動お風呂が原因で湿気などで動かなくなってしまいました。
近くの楽器店の調律師を呼んでみてもらうと、「これはもうダメですね、何なら買い取りますよ。」
鍵盤の下にアクションがあるドロップアクションだったため、技術者にとっては大変面倒なピアノです。
何よりもうれしく、生涯このピアノを手放しません、と言われていました。
それに少しでもお力になれて本当に良かった思いました。
グロトリアン-シュタインヴェッヒ 110 - 2007.07.26 Thu
おじい樣がドイツにいらした時に購入され、しかも日本に持って帰るときに車かピアノかという選択でピアノを選ばれたそうです。
ちょうど夏休みなのでよりピアノに興味を持ってもらおうと、一緒にピアノの掃除をお願いしました。
この経験が一つの思い出となって残ってもらえればと思っています。
ピアノの中身はこんなになっているんだ、こんなにバラバラになるんだ。
自分で掃除をすることによりきれいになり、愛着が増します。
こんな小さな機種にまで差別をしないこだわりと自信が見えます。
本当にピアノを通して見えてくる物があると実感しています。
そしてこういうピアノをお持ちのお客様と出会えるということが、この仕事を続けていく一つの魅力となっています。
グロトリアン-シュタインヴェッヒ 企画レポート
http://www.utamakura.co.jp/piano/kikaku/070415/kikakugroton.html
ベヒシュタイン 1892年製 - 2007.07.24 Tue
このピアノはM様がお持ちでこの時代のこの音色に惹かれたそうです。
ほとんどがオリジナルの状態にありますが、あらためてこの時代の職人技に脱帽です。
何世代にも渡って残る良い物を作ろうとしてできているので、100年以上経っても伝わって来る物があります。
140cm近くはあるかと思います。
通常のよりも長く高くなっています。
先人から怒られないように。
ベヒシュタインの企画を行ったときのレポートもありますので是非ご覧下さい。
http://www.utamakura.co.jp/piano/kikaku/070624/kikakubechup.html
調律、音合わせの秘密 - 2007.07.21 Sat
明日、うたまくらピアノ工房で毎月行われている企画を行います。
毎回テーマを設けて、その時ならではの企画の内容にしています。
今回は以前から取り上げてみたかった調律の企画です。
単純に音合わせがどういうものなのかをいろんな実験を交えて、熟練調律師の技をお見せ、お聞かせできると思います。
自分でも疑問に思っていたことを解明できること、何よりもやる本人が理解して楽しまなければ伝わらないと思います。
結果はまたレポートでお知らせしますが、興味のある方は是非ご参加お待ちしています。
今までの企画レポートです。
このページの下の方にあります。
http://www.utamakura.co.jp/piano/kikaku/pfkikaku.html
ニューヨーク スタインウェイ - 2007.07.20 Fri
雑音、音色のばらつきなど。
作業効率、コストダウンを考えるのは当たり前なのですが、しかしそれによって発生する問題をしっかり考えなくては最終ユーザーに降り掛かってきます。
(現在はクロスに戻っています)
この期間20年。
根本的な解決はこのテフロンをなくせば済むことなのですが、これがまた難しいことで、お金をかけ手間をかけるのか、買い替えるのか。
実際には1200個あるテフロンをすべてクロスに交換するという修理と、弦、ハンマーを交換して始めからの音作りをさせていただきました。
さすがスタインウェイ!
ボディーは申し分ありません。
しばらくは細やかな調整が必要です。
と言ってくださっています。
また、長いおつきあいをさせていただけるピアノとの出会いでした。
時代を語るピアノの響き コンサート - 2007.07.17 Tue
時代を語るピアノの響き コンサート
今日で無事2日間のコンサートを終えることができました。
遠くは埼玉、静岡からまたお近くの教室の生徒さんなど、お時間を作ってくださり感謝しております。
「探し続けていた音に出会うことができました。」
このお言葉で何より今までやってきたことは間違っていなかったと再確認した次第です。
本当にうれしいお言葉でした。
ありがとうございました。
近日中に詳しくはうたまくらのホームページでレポートをアップしますので是非ご覧ください。
前回のレポートです。
http://www.utamakura.co.jp/piano/jidai/070321/repot.html
グロトリアン ベビーグランド - 2007.07.14 Sat
なんと、奥行き140cm。四畳半のお部屋にソファーを置いて、テーブルも置けてしまいます。
柔らかい奥行きのある音色。
低音の最後の数本は三重巻き線。
これだけ小さいと何かが犠牲になることが多いのですが、小ささからは想像ができないぐらいの響きが出ています。
こういうモデルが今でも販売されていればと思います。
象牙、黒檀、シュワンダーアクション。
このピアノの出会いからI様は教室を開かれ、近所の方にもお貸しし、この楽器の素晴らしさを広めてくださっています。
うたまくら社の取り組みに共感され、いろんな場面でご協力いただいている方ですが、ピアノがピアノだけでは終わらない、うたまくらの理想的なピアノのあり方を実現されています。
企画の準備しています。 - 2007.07.13 Fri
この日にピアノを弾く歌枕にピアノに対しての意見を聞いて作業を施していきます。
そしてコンサート当日には最高の状態にして、素晴らしい音色が奏でられるようになります。
ピアニストが言葉で要求することを、技術的に理解をして、作業に移す。
ヤマハGPのアクション雑音の処理方法2 - 2007.07.13 Fri
勢い良く弾いている時にはこの雑音は、ピアノの音にまぎれてわからないものですが、ppなどで弾いているとキコキコと鳴っていることがわかると思います。
レペティションレバーを指でゆっくりと上下運動してください。
特に中音。
低音、高音にはこの症状はあまり出ません。
しかし長年のwスプリングの押し上げる力でレペティションレバーの裏側のくぼみに新たなwスプリングのRの「へこみ」ができてしまうのです。
そして、点での接触面のはずが、大きなR状の長い接触面になり、抵抗が大きくそこで雑音が鳴り出します。
アクションを外して一つ一つ無くしていく方法が確実なのですが、一般家庭ではなかなかそういう時間が取れないのが現状です。
そこでアクションを外さず「へこみ」を無くします。
工具をくぼみに入れ上に押し上げながら前後に滑らせて「へこみ」をならします。
工具は自家製です。
先生のピアノ、音楽を専門にされている方のピアノなど、使用頻度が多いものは数年で出てきます。
木も柔らかいのでしょうか。
スタインウェイだと30年は大丈夫です。
というよりこの状態が普通なのです。
ヤマハGPのアクション落下音の処理方法 - 2007.07.12 Thu
2.鍵盤をゆっくり降ろしたとき、もしくはゆっくり上げた時のギシギシ雑音。
1.pp~mpで滑らかに弾こうとしても、カタカタ落下音の方が大きな音がして、音に滑らかさが無い。
2.鍵盤の滑らかな上下運動が、アクションの抵抗のあるぎこちない動きによって遮られてしまう。
写真をご覧のようにハンマーローラーにレペティションレバーの黒鉛がテカッとついてしまっている。
長年使用しているため本来球状のローラーが、接触面が平らになってしまっている。
この両方の平らな面でハンマーが打弦後落下するときに、レペティションレバーと黒鉛のたっぷり付いたハンマーローラーが当たり、カタカタと音がします。
べっとり付いている黒鉛を棒ヤスリなどで取る。
その時なるべく平らになった部分の角を削り、球状になるように削る。
要するに面でなく点でローラーとレペティションレバーが接触するようにする。
作業時間はものの15分。
あまりにもひどい場合は、ローラーの交換をお勧めします。
また、レペティションレバーの黒鉛を取ってしまう場合もあります。
むかしのヨーロッパ産のピアノなどは黒鉛が塗ってないものも多いです。
ザウター 113 猫足 - 2007.07.10 Tue
ザウター バロック 113
ドイツ製 1973年製
このピアノは1819年創業という200年近いメーカーで、業界では珍しくなった直系での経営をされています。
今のザウター社長もよくうたまくら社に来てくださいました。
弦の響きが美しいピアノですが、このピアノは疲れが見えるので修理です。
そして組み立て、
鍵盤関係の消耗品交換
整調、
整音、
画像できるだけアップしていきます。
コンサートの結果は? - 2007.07.10 Tue
昨日の続きです。
ピアニストから鍵盤が重いと言われ、今日は朝8時よりホールに入っての調整です。
しかも1時間で調律の見直しと、調整、そして整音。
この作業時間配分が後の本番直前の作業に影響してきます。
作業を終えるとちょうど9時、そしてそこにはピアニストが立っていました。
早速弾いていただいたら、「昨日と雲泥の差ですね。」
ホッとしました。
後は本番まで練習で変化した場所、またピアニストの指示で動きます。
演奏曲はモーツァルト、ショパン。
これらの曲をどの形で演奏するかは、ホールの大きさ、響きなどで違うと思いますが、このピアニストはまだ若く自分の思った表現そのままをストレートに出されていました。
このホールには大きすぎたかもしれません。大ホール向け演奏ですね。
とにかく昨夜のピアノの状態からは信じられないほど、素晴らしい音楽が出てきたと言うことには変わりありません。
少しでも力になれてホッとしています。
音のバランス - 2007.07.08 Sun
コンサートのダブルヘッダーでした。
朝一番からホールへ行き、ピアノコンチェルト用の仕事をしてきました。
ここで、ピアニストから言われた注文とは、、、
「調律の問題というより、ピアノ自身の響きの奥行きを出して欲しいのですが。」
「う~ん、、、わかりました。」
と全然わからないのですが、とりあえずピアノに慣れていただくよう弾き込みをお願いしました。
つまり、曲と、ホールの響きと、自分の思っている音の出し方のバランスが思い通りに行っていない様子です。
大変難しい問題で、本番に観客が入って響きが変わる、温度湿度も変化する、そしてなにより本人のテンションが上がる。
調律で音の響きを少し変えてみました。
本番は本人は絶好調で、終わってから「凄く弾きやすかったです。ありがとうございました。」
調律というより何より気持よく弾けたことからの言葉だと思いました。
ほっ。
そして、40km離れた次のホールへ移動!
明日の本番のための調律に向かいました。
しかしそこで待っていたのは、無惨にも狂いまくって音の輪郭が無くなってしまったピアノとそれを弾くピアニストでした。
イヤーな雰囲気の中ピアノの感想を聞いて作業の参考にしました。
「低音、中音、高音のバランスが狂っている!一つ音が止まらない!鍵盤の戻りが鈍い!」
すべてのバランスがずれているとのことです。
かわいそうなピアノ?ピアニスト?
それともそれを作業する私?
2時間の作業で言われたことをザーっと行い、見ていただきました。
「以前よりまし、まだ鍵盤が重いです。」
残りは明日の作業に取っておいて帰って思案します。
この二つのテンションの違う仕事はどっと疲れが出ます。
後の結果は明日のお楽しみ!
時代を語るピアノの響きコンサート - 2007.07.06 Fri
お待ちしています。
人生師匠 - 2007.07.05 Thu
とにかくこの方は、人生師匠とうたまくらの中で言われています。
そしてある時近くの駅に行く時、ふと通り道にピアノ教室の看板がかかっていました。
それも“楽譜が読めない初心者でも30分で両手演奏ができる、大人のためのピアノ教室”。
これだと思い習い始められたそうです。
http://www.utamakura.co.jp/kyouiku/ongaku/ongaku.html
テクニック的には決してうまくはありませんが、誰にもまねのできない、人生を語ってしまう音をお持ちでした。
濃い仕事 - 2007.07.04 Wed
こんな素晴らしいピアノでレッスンできるなんて、とよく生徒さんに言われるそうです。
そこへ意識を持っていかれたS先生が素晴らしいのですが。
ちょっと見にくいかもしれませんが。
アクションメーカー:LEXOW.Berlin JNTERN.MUSIK AUSSTELLUNG GENF 1927
Belin Buchholtz G.m.b.H
Barila SW,Kranzbargstrasse.8
lot.927
4.Marz.1929
子供の生徒さんもこの音を聞きながらのレッスン。
そこでまた、びっくりでした。
これは是非次回にとっておきます。
人格が変わる? - 2007.07.01 Sun
先日イタリアのナポリ民謡、カンツォーネのコンサートの仕事に行ってきました。
大きなホールでのこのようなコンサートはいまいち合わないような気がしています。
酒場で歌われたり、洗濯物がいっぱい干してある建物の窓から歌声が聞こえてきたりと、土着的なものを聴いてきました。
そして、特にナポリの方言でカンツォーネなどはよく歌われており、この方言の発音が難しいのです。
関東の方が大阪弁を無理矢理使って歌うとどうでしょうか。
たまたま、ナポリに住んでいたこともあり期待してメンバーが来るのを待っていました。
すると、ピアニストを始めほとんどがナポリ人ではなかったのでがっかりです。
また、日本では「ナポリ民謡」「カンツォーネ」と聞くと有名な曲が思い浮かんでくるのでしょうか、年配の方が結構聴きに来られていました。
日本ではまだ、このようなコンサートの需要があるのでしょう。
コンサートというよりイタリア人の陽気さのパフォーマンスを見せるショーの用になっていました。
でも、久しぶりにイタリア人を前に大声で身振り手振りで話しているラテン系自分がいました。
日本人の中で浮いたようになってしまいましたが、イタリア人の彼らにとっては何か安心したものを感じたようです。
異国の地で母国の言葉を話している現地人がいるのですから。
ほんの30分ですがナポリ人になっていました。
できればお酒を飲めるところで聴きたい!