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ピアノを知ろうVol.1 企画レポート - 2008.05.26 Mon

先月行われたピアノ工房連続企画のレポートができましたのでお知らせいたします。

http://www.utamakura.co.jp/piano/kikaku/080430/kikakupfsirou1.html

今月もピアノの前身であるクラヴィコードにスポットを当て、しかも絶滅してしまったクラヴィコードを復活させたドルメッチのクラヴィコードを使っての企画です。
お時間の許す方は是非お越し下さい。

http://www.utamakura.co.jp/piano/kikaku/pfkikaku.html

お待ちしています。

ピアノ弾き語録Vol.3 タイミング - 2008.05.25 Sun

岡山での仕事。
今回は大先輩の代役で、あるピアニストの仕事をさせていただきました。
代役というのは、先輩と全く同じにできないにしろそれに近い仕事はこなさないと行けない状況です。
推薦していただいたからこそ、生まれて来た仕事であって、失敗は許されません。

緊張です。


そして運の悪いことに悪条件が、、、

1時間半でそのピアニストの特徴のピアノに仕上げる
雨と湿気
朝一番での長距離移動(眠い)

しかし、やることをやらなければ!


時間があってじっくり仕上げるとピアノのまとまりが悪いタイプの私には、短時間でガッとまとめた方が良い結果が出るというタイプで、少しの望みを持っていました。

リハーサルが始まり始めに言われたこと。
「タイミングが早いです。ピアノの置き位置の変化で響きを聴いてそれを補えるかどうか、試してみましょう。」

この結果、移動して吉と出ました。

しかし、また、しばらく弾いて、
「う~ん、やはりタイミングをもう少し遅くしてください。」
弾いた感じと、音の出るタイミングのことなのですが、なかなか難しいご注文。
とにかく、本番まで後数十分です。
「やりすぎ!後0.5mm戻しましょう。」



そして本番。

熱い演奏。

終了!




握手を求めて来てくださいました。ほっ。
次につながると良いのですが。

人のタイミングを感じる、難しいです。

打楽器としてのピアノ - 2008.05.21 Wed

今日のコンサートはこの仕事をして、生涯ほとんど出会わないであろうと思う曲の仕事をしました。


DSCN4642.jpg



DSCN4643.jpg

バルトーク:ピアノと打楽器のためのソナタ
ご覧のようにいっぱいパーカッションが広がっています。
また、ピアノも2台、しかも屋根無し。早朝から別の部屋で二人で調律し、本番前も交互に確認。

バルトークはあまり詳しくはありませんが、ミクロコスモスなど現代曲を代表する作品を残しています。
バルトークの世界がこんな風に広がっているのかと大変面白い曲でした。
打楽器のパフォーマンスは体全体が動くので、大変面白いものです。
それに負けないようにピアノもパフォーマンスできるか?

ピアノの置き位置、フタの有る無し、本当に苦労したと言うところが見えていました。
こういう曲は準備も、練習も、全てが大変だと関係者曰く。
本当にそう思います。

練習と言ってもこれら全てがそろっているところは皆無。
これから先また同じ曲と出会うことがあるかどうかはわかりません。
ショパンの曲のように何度も弾かれる、聞かれる曲ではないことは確かです。


弾く人も鍵盤を叩く、ハンマーは弦を叩く、かなり複雑な構造の打楽器:ピアノです。

ピアノ弾き語録Vol.2 - 2008.05.16 Fri

以前あるピアニストのお仕事をさせていただいたとき、びっくりしたことがありました。
その方は、特にスタインウェイを良く弾かれるのですが、製造番号を見てその時代に作られた楽器の癖、音色、タッチなど特徴付けてしっかり記憶されています。

そこで質問され、
「製番が○○○○○○番台のピアノの音はどう思う?」
「、、、、、。」

どんなピアノだったかぱっと出てきません。
何と答えていいのやら、自分の思っていることが的はずれだったらどうしようか、などと思っているうちにピアノを弾きだされていました。
会話が成立しませんでした。
いろんなピアノを触られているため、もちろん調律師よりも触られているため太刀打ちできませんでした。

そして、
「ppとffは出るけれどmp~mfの間での変化が急激すぎる、もっとコントロールできるようにできるかな。」
本番直前の会話で時間が無く、作業後の劇的な変化ができた記憶はありませんでしたが、何とか無事に終えたような、、、。

ピアノに関するいろんなとらえ方をしておかなければいけないなと思った出来事でした。

ピアノ弾き語録Vol.1 - 2008.05.15 Thu

調律の仕事と言うのはピアノと向かうわけですが、その向こうには必ず、そのピアノを弾く人がおられます。
昔から思っていたことですが、今までにいろんな方の仕事をさせていただきましたその中で、特に印象の残った方のお言葉と言うのが大変興味深くて、奥が深くて、はたまた意味不明で、それらがまた、面白いのです。
そこでこれから、特に印象に残った語録を出させていただこうと思います。

ピアニストでも、一般の方でも、子供さんでも技術者でない限り、鍵盤を弾いた感触での言葉の表現です。


今日伺ったK様。
小さいグランドをお持ちで、より弾きやすくする方向での調整の中でのお言葉。

「鍵盤が鉛調整により物理的に軽くなっていても、弾き心地は重い。」
う~んどういう調整をしようか?

「鍵盤の下の方で揺さぶる感じ。」
鍵盤が一番下に降りた時はもう音が鳴っているので、揺さぶっても音は揺さぶられません。
でも、意味は感じは大変良くわかります。

そして、極めつけ
「小さいグランドですが、弾いていて大きいグランドのようにハンマーが遠く奥に感じる調整はできますか?」
「鍵盤を長く作ってください。」
この一言がK様のピアノに対する思いの一言だと思いました。
最後はお互いにいろんな発想が出て大変盛り上がっていきました。


技術者とすればそれぞれのお言葉を頭の中で技術に置き換えて考えるわけですが、言葉はいろんな言い方ができますが(特に日本語は難しい!)、技術はそんなに多くはありません。

いやー困った。
でも楽しい!

ただいま新生中!3 オーガスト・フェルスター - 2008.05.14 Wed

響板割れ、駒の剥がれの修理です。
これらは結構めんどくさい作業です。

まず、割れの溝を掘ります。
埋木をする木材のくさびの角度と、溝の角度を同じにして溝を作らないと、また結局溝が隠しきれなくなったり、埋まりきれなかったりと、大変手間のかかる作業です。

イメージ 1

埋めてみるとこんな感じです。
乾いた時点で、響板の表面の高さまでカンナがけです。
乾くまでは丸一日待ちましょう。

イメージ 2

そして、駒の表面の剥がれです。
年数が経ったものは、弦のサイドベアリングの力などで駒ピンが持って行かれ、その力で駒表面の木材が割れることがあります。
これはそこまではありませんでしたが、ところどころ、表面の剥がれが見つかり、駒ピンの錆もきつかったため、駒ピンを抜いて表面の接着です。
ピアノの横幅の長さのクランプを使い、車のジャッキと、下からは(写真では見えません)響板を支える土台を作り接着固定していきます。


今日の朝NHKのニュースで京都の小学校にあったもう弾かれることの無くなった100年前のペトロフの修理が取り上げられていました。
こういう風に蘇って弾かれていくことは素晴らしいことだと思います。
楽器としてあり続けることは大変なことなんだと、改めて思いました。

ただ今新生中.2オーガスト・フェルスター  - 2008.05.13 Tue

修理していく中で、最初はだんだんと見慣れない光景が現れます。
ピアノがどんどん裸になっていく感じです。
先日までは弦が外された状態でしたが、今回はそこから先に進みます。
ピアノの中で一番重たい鉄骨を外します。

でもなぜ鉄骨を降ろすのかというと、必要がなければ極力外したくないものですが、鉄骨の下で見えなくなっている部分の修理が発生した場合仕方がありません。

イメージ 1

何本もある鉄骨を止めているネジを外していきます。


イメージ 2

全部外して響板、ピン板がむき出しになりました。


イメージ 3

外した鉄骨を逆さに置きます。(上が重いので)
大人4人で持ち上げました。

イメージ 4

鉄骨を止めていたネジです。


イメージ 5

いろんな長さの種類があります。
あらためてネジを締めるときに、一本余った!足らない!なんてことが無いようにしっかり保管します。



次は前半の山場でしょうか、響板割れ、駒関係の剥がれなどの修理です。
コンサートなどの新しいピアノの仕事をやりながらなので、このギャップがたまりません!
いろんな構造の違いや、発見があるため、コンサートでは味わえない面白さです。

ただ今新生中.1 オーガスト・フェルスター  - 2008.05.09 Fri

大事に使われて来たピアノをある方が手放されました。
かなりの高齢の方で本当にいろんな思いが詰められたピアノだと思います。
施設には置いておけないということで、お引き取りさせていただくことになりました。

このピアノも年齢80歳。
次の出会いのお手伝いのためにしっかりと新生させていただきます。

イメージ 1

ピアノを横に倒し、分解にかかります。


イメージ 2

外装、鍵盤、足、ペダル、、、響板の修理のためはずせるものは全てはずします。


イメージ 3

あまり見ることの無い光景です。
あまり見たくない光景でもあります。


イメージ 4

弦を全て取り払うと響板に描かれている当時の絵がはっきり見えます。
工場のマークです。


これから次は鉄骨をはずし、響板の修理にかかっていきますが、ピアノにそっぽを向かれないようきちんと作業をしなければ応えてくれないような気がしています。

ペトロフがやってきた!Vol.4 - 2008.05.04 Sun

最後の仕上げ整音です。
とその前に、もう一カ所掃除がありました。

イメージ 1

写真の丸い棒、これは右ペダルを踏むと動いて、ダンパー全部を持ち上げる役目のものですが、これが結構汚れています。
金属とクロスの摩擦なので、雑音が鳴らないようにしますが、メーカーによっては油系のものを塗ったりしてきます。
するとそこにホコリが付着して、棒の表面がザラザラのヤスリ状になり、逆に緑のクロスを摩耗させることに繋がります。
ほんの数年で交換ということもありました。

いろんな意味での掃除は、後々作業がしやすいようにということと、消耗を極力抑え長持ちさせるためでもあります。
昔と違って材質が低下しているこの時代だからこそ必要だと考えます。


そして整音。
イメージ 2

音を聴いて、う~んもうちょっと伸びが欲しい、、、低音、中音、高音のバランスが悪い、、、ppが硬い、、、これらを考えて針を入れていきました。
見事、一本も針が入っていません。ジャリジャリという感触でした。
素材は良いから、やれば良い音になるのに。



イメージ 3

針跡を消します。



さっそく今日お客様がみえて、他で弾いたペトロフと比べてくださいました。
開口一番「違う!全然違う!」
中欧の雰囲気と音楽のイメージがご自身のイメージに合った形になったということでした。

愛情をたっぷり注ぎ込んだピアノになったと思います。
自画自賛は危険ですが、、、。

ペトロフがやってきた!Vol.3 - 2008.05.02 Fri

昨日に引き続きペトロフの、いやチェコ製品ならではの調整をご紹介します。
自国で生産している部品だからいろんなチェコ製のピアノによく見られることなのですが、


イメージ 1

鍵盤奥に着いている真鍮の部品(キャプスタン)ですが、


イメージ 2

イメージ 3

まわりの面取りが悪くギザギザしています。
真ん中に見える輝いているのが磨いて仕上げたものです。

過去にこのギザギザキャプスタン・ピアノに当たり、苦労したことがありました。
この真鍮の上にはアクションのフェルト部分が乗ります。
そして常に摩擦が起きている場所です。
ギザギザ、バリが出ている状態ですと、そのフェルトを削ってしまい、穴があいてしまいます。

そのとき見たピアノは案の定まだ新しいのに穴があいて、引っかかるタッチになっていました。

もう一歩きれいに仕上げてくれれば良いのにと思ってしまいます。

イメージ 4

ペーパーでギザギザのバリを削り落とし、



イメージ 5

バフで磨き上げます。



イメージ 6

左側が仕上げたものです。
これでスムーズな滑りが出てきました。



イメージ 7

そしてアクションを付けて、魔法のランプ(ただのアルコールランプ)でねじれたハンマーの傾きを調整します。
日本では電気のアイロンで一カ所だけをつまんで暖めて調整するのですが、熱すぎるのと、暖める範囲が狭いためヨーロッパでは決して使いません。
アルコールの柔らかい熱で全体を暖めて調整します。

調律、整調を仕上げ次は最後の整音です。

ペトロフがやってきた!Vol.2 - 2008.05.01 Thu

今日から調整に入りました。
ペトロフは日本に入ってからほとんど何もされないまま、お店に並ばれていきます。
後はお店の技術力での手入れ次第です。

そこで、最初の手入れが非常に大切になってきます。
これで、ピアノの寿命が決まると言っても過言ではありません。
しかも良い音で長く弾き続けるためにも!


イメージ 1

某国産メーカーはこの鍵盤の骨組みが紙の圧縮だったり、木というものを使わなくなってきている中、このペトロフは未だにしっかりとした材質のものを使用しています。
これを見てホッとしました。
この20年でかなり変わったのかと思っていましたが、ちょっと洗練されて帰ってきたような感じです。


イメージ 2

どのメーカーでもそうですが、工場での汚れというのがピアノに付いてきます。
それをしっかりと掃除をして、滑らないと行けないものは磨いて、動きをスムーズにします。
この鍵盤の赤いクロスにもびっしり汚れが着いていました。



イメージ 3

イメージ 5

しっかりと一本一本汚れを拭い取ります。
ここで赤いクロスの剥がれを発見!
昔はこのクロスを一つ一つ膠で貼付けていたものですが、次の時代はボンドになり、今はアイロンでジュッのアップリケです。
これはスタインウェイもそうなってきているので、この時代の変化は仕方ないでしょうね。
スタインウェイのもよく剥がれたりしています。
こういう作業で見つかるものです。


イメージ 4

鍵盤の赤いクロスが接触する部分のピン(金属)も磨きます。
すると結構ピンの表面がキズが着いていたり、汚れがあったり。
鍵盤の上下運動の摩擦に影響が出て、タッチが重くなります。




イメージ 6

鍵盤の最後はピン一本一本の摩擦抵抗を見ながら接触面の調整です。




イメージ 7

ベヒシュタイン同様総アグラフですが、ベヒシュタインほどこの特徴が出ていないような気はしますが、本当にきれいにまとまっています。



次からはアクションの調整に調律、整音です。

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プロフィール

arakipiano

Author:arakipiano
32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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