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ピアノもお風呂に? - 2008.07.30 Wed





3年前に修理させていただいたD様のお宅に伺いました。

ボールドウィンのアップライトをお持ちです。

お母さんが数年前に亡くなられ、その亡くなる前の2~3年間、お母さんとの思い出をしっかりと作られたピアノでした。

ほとんど動けなくなり、話せなくなったお母さんを元気付けようと、大好きだった「荒城の月」のメロディーをポロンと弾きはじめると、何と口ずさみだしたとの事。

ピアノを弾きながら涙が出たそうです。


そして数ヵ月後お母さんは天国に召されました。


亡くなる前数年間は寝たきりなのでデイサービスのお風呂をリビングに簡易的につくり入っておられ、その湯気がすぐ隣にあるピアノにも、、、

錆が出て、鍵盤も下がったまま戻らなくなってしまいました。

近くの楽器店、調律師さんに見てもらうと「これは買い換えたほうがいいですね。修理は無理です。」とほとんどの人に言われたそうです。

でも弾かれなくても思い出のピアノだから残しておきたい、できるならもう一度弾けるようにしたい、ということで縁あって修理することになりました。


今では、「私がお母さんのところに行った後もこのピアノの面倒を見てくださいね。」と言われています。

74歳のD様、まだまだ長生きしてください!


オーガスト・フェルスター ただいま新生中Vol.5.1 張弦完成! - 2008.07.30 Wed






張弦完成!
DSCN4732.jpg

弦の配列がきれいです。
その下で輝いている工場の絵もきれいです。
DSCN4736.jpg

チューニングピンの根元に赤い輪(ブッシングクロス)があるのも珍しいです。

また、張っただけでは終わらないのがピアノ。
弦が固いため、ピンに巻いてある部分のコイル状の密着も影響するので、しっかりとくっつけます。

そして、じわじわと音程を上げていきます。
急激に上げると老体が悲鳴をあげます。
優しく優しくゆっくりと、、、

次に本体組み立てとアクション鍵盤の修理です。

オーガスト・フェルスター ただいま新生中Vol.5 - 2008.07.26 Sat





ようやく、アップできました。
響板のニスが乾き、鉄骨を乗せ、張弦の真っ最中です。

DSCN4731.jpg
赤いクロスを張り替え、新しいチューニングピンと弦、光っていて気持いいですね。


DSCN4728_1.jpg
アップで見るとこんな感じです。

DSCN4730.jpg
そして実際はこちら側から作業を行っています。

技術者によっては弦の張り方が違ったりしますが、私は高音側から、つまり細い弦から張っていきます。
弦はかなり固い物ですので、作業しずらいのですが、細い弦からだんだん太くなっていきますので、手の感触が作業になれてくることには太くても大丈夫。
低音弦に行くまで、何種類のサイズの弦を張るかご存知でしょうか。


12~13種類です。
サイズも0.800mm~1.200mm
つまり0.025mmづつ変化しています。
この差は何年もやっていると手で触って違いがわかるものなんです。

弦を全部張り終えてまた、全容をご報告したいと思います。





グロトリアンのアクション修理 - 2008.07.21 Mon





○○年製、オーバーホール済み、、、調整済み、、、。
という記事をよく見ますが、実は中身が本当にどこまで調整チェックされているのかは、いったん組み上がったピノからはわかりにくい物です。
そして、どこまで中のことを説明してくれるかということに関しても、つっこみどころが難しいと思います。

今回の修理はある楽器店でピアノを購入された方が、家のピアノはうたまくらさんのグロトリアンよりも重くて弾きにくい、というところから見させていただくことになりました。

●アクションの部品一つ一つが微妙に湿気ていて、動きが重くなっている。
●ハンマーの表面が毛羽立ちすぎて、音の輪郭がバラバラ
DSCN4723.jpg
アクションをバラバラにして一つ一つのフレンジの動きの固さを調整します。

DSCN4726.jpg
左側がファイリング(ハンマーのフェルトの表面を削り直したもの)した物で、右の毛羽立っているのがまだ。グロトリアンの音色のパフォーマンスが出ていません。

外装をきれいにして、中身も簡単にきれいにして、機能としての動きを無視した販売。
こういうピアノが多いと思います。

しっかりと分解修理させていただきました。
後は納品してタッチのチェックと、整音です。

スクエアーピアノの不思議 - 2008.07.17 Thu





今回伺ったのはギター奏者の松井朝敬さん宅で、そこには古いスクエアーピアノが置かれていました。

1900年代初頭~1940年代頃のSwing,Jazz,Hawaiian,Ragtime,Manouche Swing 等を最も得意とする弦楽器演奏家・作編曲家集団の創始者です。詳しくはこちら

お部屋には何本もギターがぶら下がっており、バンジョー、ウクレレなど年代物の楽器がこだわりを持った形で置かれていました。

ここになぜかスクエアーピアノが、、、
DSCN4717.jpg

アメリカ、ニューヨーク製のMATHUSHEK PIANO です。
DSCN4713.jpg

1852年創業ということでスタインウェイの前の年ですね。
1958年まで記録がありますが、その後は無くなってしまいました。
2005年に復活したそうですが、50年を経て復活したピノはどんなんでしょう。


DSCN4716.jpg

構造上結構調律が難しかったりしますが、88鍵ありしっかりしたピアノです。
DSCN4712.jpg


アクションです。
DSCN4706.jpg

DSCN4705.jpg



あまりこれらのピアノに関しては詳しくないのですが、調整していておもしろいです。
現在では使われていない構造があったり、それをどこかが採用していたり。
ホンの少し紹介しますと、

DSCN4709.jpg
この写真の奥に見える緑のバーがあります。
左のペダルを踏むことにより普通は鍵盤が右にずれますが、この構造は緑のバーが上がり、鍵盤の後ろを持ち上げます。
すると、鍵盤全体が5mmほど下がり、ハンマーも半分上がり打弦距離が短くなり音量が小さくなります。
アップライトの構造に似ています。
現行ピアノでこの方式を使っているのがイタリアのFAZIOLIの4本ペダルコンサートグランドです。

いろんな材質がしっかりとしていて現在まで使われているのだなと実感します。
また、その意味を理解してくださっている松井さんだからこそ、この楽器も活かされているのだと思いました。

煌めきピアノコンサート 大成功! - 2008.07.15 Tue





日曜日、月曜日と うたまくらピアノ工房でのコンサート無事終わりました。
ピアノの先生、趣味で弾かれる方、調律師の皆様、小さなお子さん連れ、いろんな方が来てくださり、エアコンがフル回転する中、熱い時間でした。

歌枕自身がアレンジしたタローネでの月の光り、100年前のベヒシュタインでのビリージョエル、グロトリアンーシュタインヴェッヒのクイーン、新品ペトロフでのカルメン、とピアノならではのいろんなジャンルの魅力と、いろんなピアノでの音色で皆さん満足してくださいました。


これらの内容は改めてレポートとしてうたまくらのホームページにアップしますのでお楽しみに。

それにしても同業者の方が何人も来てくださったのは本当にうれしく、ピアノが売れないこの時代に調律師はいろんな工夫をしていかなければいけません。
少しでもヒントになれば、力になれば、刺激になれば次に繋がるような気がします。

新しく考え続けていかなければと、心新たに決意したコンサートでもありました!

ベヒシュタイン 100歳100歳Vol.3できあがり! - 2008.07.11 Fri





ようやく完成しました。
まずは今度の日曜のコンサートはこんな感じです。
DSCN4704.jpg


手前からベヒシュタイン チッペンデール、そして完成したベヒシュタイン9(100歳100歳)、そしてグロトリアンーシュタインヴェッヒ2台

ちなみに手前から50歳、100歳、80歳、80歳です。
日曜日にこれらの楽器を使用したコンサートです。
全部の調律が待っています。


ここに至までの写真です。
DSCN4694.jpg

真鍮ネジを1本ずつ磨き

DSCN4696.jpg

磨いたヒンジをネジで止め

DSCN4698.jpg

輝かせるところは輝かせ

DSCN4701.jpg

アクションの悪い部分は交換し

DSCN4700.jpg

完成のお姿です!

是非弾きにお越し下さい!




何もない? - 2008.07.10 Thu





コンサートの仕事では常にピアニストと調律師である程度のやり取りがあるものです。


昨日のコンサートの仕事はここ数年ご指名いただいているピアニストなのですが、最初の頃はこれでもかというほど、いろんな注文を言われ、なにをどうすれば良いのか試行錯誤ばかりでしたが、この何回かは何にもないのです。

何もない? 良いことか、悪いことか?



昔、先輩調律師に聞かされたことがありました。

ある有名なピアニストが地方にやってきて、その先輩が担当したのですが、細かくうるさいと有名なピアニストで、覚悟していたらそのときは全く何も注文が出なかったそうです。

先輩はホッとされ、満足げに家路につかれたということですが、それから数ヶ月後、友人からこのときのピアニストの話が出てたまげたそうです。
「○○ホールのピアノは大変だったよ。これ以上悪くされたら弾けないから、何も言わなかったけれど、、、」

つまりそのホールのピアノを見てその管理している調律師のレベルがわかるとのこと。
それで、指示をして作業をしてもらっても理解できなくて、これ以上弾きにくい状態にされたら本当に弾けなくなるから、今の状態に慣れて本番に持っていこう、ということだったとのこと。

先輩は大変ショックでしばらくは立ち直れなかったと言われていました。


いくら技術といえども最後は人間同士のコミュニケーションですから、何か反応があれば
次につながるのですが。


といろいろと言いながらでも、次の仕事もまだがんばらねば。

ベヒシュタイン 100歳100歳Vol.2 - 2008.07.08 Tue





今週の日曜日に行われるコンサートに間に合うように、今一生懸命修理調整しています。

この時代のベヒシュタインを何台か修理してきましたが、30~40年ずっと同じ形式で,同じ設計で同じ材料で作られているのがすごいです。
今ではどうやってコストダウンするかを日々追求しているので、どんどん部品も変わっていくピアノを見ていると、本当に良い時代だったのだなと思います。


DSCN4691.jpg


写真はペダル部分を分解したところですが、スプリングは真鍮でできていまして、磨くと金ピカになります。

ピアノの下のフタを開けると,金色に輝くところがいっぱい!
でも今は汚れなどで曇っているので,ひたすら磨いています。
このペダルの構造もずっと変わらずきていました。
外しやすく修理しやすく、組み立てやすい。
何世代も保たせる目的で造っているので、当然かもしれません。

DSCN4692.jpg


外装もハゲハゲだったので、この当時の塗料、植物性ニスを使って表面を保護します。
出来上がりはまたアップいたします。

外見もですが、なんといっても音が素晴らしいので驚きです。
うたまくら茶論のベヒシュタイン・パリッサンダーの系統に似てると思うのは私だけでしょうか。
パリッサンダーの音はこんな感じです。(本当は実際に聴いていただきたいのですが)

このピアノでどんな曲が聴けるかは今度のコンサートでのお楽しみですが、早く完成させないと!

煌きピアノコンサート - 2008.07.03 Thu





ピアノが弾けたらかカッコいいと思いませんか?
もちろんカッコだけの話ではありませんが、昔からピアノが弾けるのが夢でした。
この仕事をやり始めてピアノが近くなり、ピアノの深さがわかり、発見が常にあり、そして何より音楽がありました。

そんな思いをピアノに託し、新しい企画が生まれました。


歌枕直美の煌きピアノコンサート

2008年7月13日(日)一部10:00~11:30
             二部11:30~12:30
     7月14日(月)一部10:00~11:30
             二部11:30~12:30


会場:うたまくらピアノ工房・うたまくら茶論

料金:一部   一般¥1,000.- 学生¥800.-
   :二部   一般¥2,000.- 学生¥1,500.-(お茶付)要予約
   :通し券  一般¥2,500.- 学生¥2,000.-(お茶付)要予約

演奏・お話:歌枕直美

楽器案内人:荒木欣一


内容
一部ではうたまくらピアノ工房で様々なジャンルの音楽をいろんな音色のピアノで演奏いたします。きっとお気に入りの曲が見つかるかもしれません。

二部は茶論でお茶を召し上がり、歴史的鍵盤楽器,、チェンバロ、クラヴィコード、フォルテピアノなどを使った演奏や120年前の新生されたベヒシュタインを使っての演奏を聴いていただき鍵盤の歴史をたどってのコンサートです。



是非、これからピアノを弾いてみたいという方、昔弾いていたけれどもう一度やってみようかと思っている方、ピアノの歴史を感じてみたい方どうぞお越しください。

utasha@utamakura.co.jp

ピアノ工房連続企画 ピアノを知ろうVol.3 無事終了 - 2008.07.01 Tue





昨日、うたまくらピアノ工房で行われた連続企画、ピアノを知ろうVol.3 ピアノのトラブル応急処置編が無事終わりました。

この企画はよりピアノに近くなっていただくこと、いつも疑問に思っていたことの解決策が身近に感じられ,自分でできることを知っていただきたくて行いました。

雑音、共鳴、えんぴつ落としちゃった、etc 自分で直せることがいっぱいです。

詳しくはまた、企画レポートをアップしたいと思いますので是非ご覧下さい。

お越しいただいたお客様、学生のときにピアノで疑問に思っていたこと、調律師の言動に疑問を持っていたこと、それが解けたと言ってくださり、つっこんだ形での質問もあり、充実した時間だったと思います。
ありがとうございました。

次の工房企画はただ今計画中です。
出きれば整音を行いたいと思っています。
技術者でない方が見ても、はは~ん、なるほど!というような視点でお見せできないかと思っています。
詳細は後日発表したいと思います。
お楽しみに!

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プロフィール

arakipiano

Author:arakipiano
32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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2008年07月30日 (水)
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