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小学生3年生の自由研究がすごい! - 2023.12.28 Thu


先日小学3年生のお嬢さんから問い合わせがありました。
小学生とは思えない的を得た質問と小学生ならではの発想でした。

今年の夏休みにうたまくらピアノ工房でピアノ解体ショーを行い、それに親子で参加してくださって、響板の上でオルゴールがとても大きな音を響かせたことに一番興味を持ったそうで、自分で考えたいろんな物で実験をやったそうです。



オルゴールの機械部分を購入し、身近な素材の物の上で鳴らして、音の響き方を比べる実験でを考え、
・段ボールの板
・プラスチックの板
・紙袋
・絵本
・キッチンの油跳ねガード(ステンレス製)
・まな板(木製)
・タオル
・紙袋
その他

結果自分の耳での判断で
・ダンボール、・絵本、・まな板の順で響いて、さらに次の疑問が湧いて専門家(ピアノ調律師)に質問しようということになったようです。



1.響板に木を使っている理由はなんですか。
2.木以外の素材で作られている響板は存在しますか?


我々専門家では発想しない内容に驚き、おもしろいと思い、このお嬢さんとのメールのやり取りが始まりました。
しっかりと考えも教えてくれました。

「私の1つ目の考えは、ダンボールだと見た目が良くないからだと思います。
2つ目の考えは、木以外にないと思います。今まで見た事がないからです。
私はこのように思うのですが、荒木さんはどう思われますか。」


これに対して小学生でもわかるように、

素敵すぎる研究です!
それにたどり着く前の疑問も本当に面白いものです。

漢字がわからなかったらお母さんに聞いてね。

まず研究に使った材料のことですが、比べるという観点から材料の条件を同じにしないといけません。
縦と横の大きさはもちろん、厚みもすごく重要です。

まな板よりダンボールの方が良く鳴ったというのは
まな板の材質は木ですか?
まな板の厚みは何mmですか?
ダンボールの厚みは何mmですか?

もし木のまな板なら厚みはかなりあるのではないですか?
ダンボールと比べるとダンボールの方はかなり薄いのではないでしょうか。

例えば同じ厚みにしてみるとどうでしょう?
まな板が20~30mmあったとしたら同じ厚みのダンボールを貼り合わせるなどして作ってみてください。
きっとダンボールは鳴りにくいはずです。

もしくは10mmくらいの厚みの木とダンボールで比べてみてください。


ここでピアノの響板のお話をします。
ピアノの大きさと同じくらいの響板は厚みはたったの8~10mmなのです。
なぜならその厚みが1番響くからです。
それより厚ければ板が振動しにくい。つまり響かない。
それより薄ければ弦の張力(引っ張る力と響板の上から抑える力)で割れてしまいます。

もし、10mmくらいの厚みのまな板があれば試してみてください、きっと大きな音が鳴るはずです。
木の厚みの違いで音の大きさが違うという研究も面白いかも!
荒木さんはやったことがありません!

さて、質問の答えです。
1.なぜ木が響板に使われているか?

いろんな材料の中で1番響くからです。
しかも、硬い木ではなく、柔らかい松の木(スプルース)を使っています。
日本では昔、北海道の松、蝦夷松(えぞまつ)を使っていました。
なぜ柔らかい木が良いのかは弦の振動を1番伝えやすいからです。
そして、音質が自然だからです。

2.木以外の材料で作られている響板はないか?

私の知る限り木以外は無いです。
ただし、松以外の木で作られているのは知っています。
ベニア板です。合板で安く作れます。

木以外の材料だと弦の張力に反発する力が弱いので割れるか凹んでしまうでしょう。
ピアノの響板はすごいんです。
すごい能力があるのです。
これを300年前に作ったのです。

未来は響板の木は貴重になって取れなくなると、木と同じ能力のある材料の響板ができるかもしれませんね。

もし、わからないことがあればまた質問してください。


荒木さんへ
先日は質問に答えてくださりありがとうございました。
私が使っていた木のまな板とダンボールは、縦と横の長さは揃っていましたが、厚みが全く違いました。
だから、木の板(厚み9㎜)を買ってきて、木とダンボールを同じ条件にし、実験をしました。
ダンボールと木でやってみると、木の方が響きました。
また、木の板1枚と、2枚重ねた物を比べると、1枚の方が響きました。
アドバイスをもらい、まとめまでいくことができました。
ありがとうございました!


そして、数日が経って、自由研究が終わったとの報告と教室で発表している動画が送られてきました。
15分ほどにまとめられていて、ホワイトボードいっぱいに実験のやり方や、結果をまとめた紙が貼られて丁寧に説明しているお嬢さんの立派な姿が見れました。
実験が3回、それに対しての考察、的確な判断と感想、全てに感心しました。

荒木さんへ
先週、自由研究が終わりました。
お尋ねで「未来に木より響く素材は出来ると思うか?」が出てきました。
もし出来たら、木より響くその素材が響板に使われると思いました。
私は未来に木より響く素材は出来るかわかりませんが、荒木さんはどう思われますか?
今まで質問に答えてくださって、また自由研究に付き合ってくださってありがとうございました!


うたまくらピアノ工房からこのような形で繋がっていったことに感動と、子どもたちの感性に響いたことに安堵しました。

来年も工房からの発信を今まで以上に行なっていきます。

● COMMENT ●

素晴らしい!

素晴らしい研究成果です。感服です。
身近な存在である木が、音を効率良く伝え(伝搬速度は金属よりも速い)、耳障りな倍音成分を抑えと、楽器に最適な素材であるのも不思議なことですよね。

Re: 小学生3年生の自由研究がすごい!

うさま
はい、子どもの素直な感性と疑問と発想に驚いたのと発表のまとめ方の的確さに感心しました。未来は明るい!


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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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