ボールドウィン 母の思い出 - 2007.07.27 Fri
今回はボールドウィンの紹介です。
昨年うたまくらで修理させていただいたピアノです。

昨年うたまくらで修理させていただいたピアノです。
というよりこのピアノをお持ちのD様のことを少しご紹介できればと思います。
今年72歳で今でもピアノを習われています。
今年72歳で今でもピアノを習われています。
ピアノをされたきっかけは戦争時代になります。
小学校の頃に神戸にいらしたD様は戦火が悪化したなか、疎開先である香川県に行かれました。
生まれつき心臓の弱かったD様は子供だけで行く学童疎開ができず、縁故疎開をされました。
生まれつき心臓の弱かったD様は子供だけで行く学童疎開ができず、縁故疎開をされました。
その香川県の地でヴァイオリンの響き、室内楽の響き、合唱の心地よさを知りました。
それが縁でヴァイオリンを始めたのですが、あまりの音の凄さにお父様から「もう辞めてくれ!」と言われ、自分も自身の音にびっくりしたそうです。
それが縁でヴァイオリンを始めたのですが、あまりの音の凄さにお父様から「もう辞めてくれ!」と言われ、自分も自身の音にびっくりしたそうです。
そしてそこで歌った荒城の月、いろんな唱歌。
高校まで7~8年いた香川での音楽の思い出が、強烈に心に残っていました。
高校まで7~8年いた香川での音楽の思い出が、強烈に心に残っていました。
そして戦後、年月が流れ娘さんのためにピアノを買ってあげるときに、絶対自分も気に入る物をと思い、ボールドウィンを決められました。
娘さんが弾いていても、やはり自分が買ったピアノという意識が強かったそうです。
そして、ピアノを弾くのが夢だったそうです。
娘さんが弾いていても、やはり自分が買ったピアノという意識が強かったそうです。
そして、ピアノを弾くのが夢だったそうです。
親戚からは心臓が悪いため長くても20歳ぐらいまでしか生きられないだろうと言われていて、それが今では長生きしている自分は何のために生きているのだろうと。
そのとき、生んでくれた母を見るために自分は今生きているのだと、思いました。
そのとき、生んでくれた母を見るために自分は今生きているのだと、思いました。
そして、D様のお母さんが寝たきりになったときにピアノどころではない生活が始まりました。
移動のお風呂を部屋でするのですが、それがピアノの置いてあるリビングでの入浴です。
お母さんとピアノが一緒にお風呂に入っているような気がして、ずっとピアノを気にしていました。
ここでの環境がピアノを錆びさせ、修理になってしまったようです。
移動のお風呂を部屋でするのですが、それがピアノの置いてあるリビングでの入浴です。
お母さんとピアノが一緒にお風呂に入っているような気がして、ずっとピアノを気にしていました。
ここでの環境がピアノを錆びさせ、修理になってしまったようです。
しかし、ここで奇跡が起きました。
寝たきりのお母さんはほとんど会話もできません。
なにげに弾いた唯一片手で弾ける荒城の月をポロンポロンと弾き始めると、なんとお母さんが荒城の月を歌い出したのです。
D様は涙が止まりませんでした。
寝たきりのお母さんはほとんど会話もできません。
なにげに弾いた唯一片手で弾ける荒城の月をポロンポロンと弾き始めると、なんとお母さんが荒城の月を歌い出したのです。
D様は涙が止まりませんでした。
その後お母様は亡くなられました。
ようやく自分の時間ができ、子供の頃の夢だった音楽、しかもピアノをするということを考えましたが、鍵盤が動きません。
移動お風呂が原因で湿気などで動かなくなってしまいました。
近くの楽器店の調律師を呼んでみてもらうと、「これはもうダメですね、何なら買い取りますよ。」
鍵盤の下にアクションがあるドロップアクションだったため、技術者にとっては大変面倒なピアノです。

移動お風呂が原因で湿気などで動かなくなってしまいました。
近くの楽器店の調律師を呼んでみてもらうと、「これはもうダメですね、何なら買い取りますよ。」
鍵盤の下にアクションがあるドロップアクションだったため、技術者にとっては大変面倒なピアノです。
自分の夢だったピアノ、娘のために買ったピアノ、そして母の思い出の詰まったピアノをいとも簡単に投げ捨てるように言われたときの悲しさはありませんでした。
そして、縁あってうたまくらで修理することになり、ピアノが蘇りました。
何よりもうれしく、生涯このピアノを手放しません、と言われていました。
何よりもうれしく、生涯このピアノを手放しません、と言われていました。
D様に取っては世界一のピアノだと思います。
それに少しでもお力になれて本当に良かった思いました。
それに少しでもお力になれて本当に良かった思いました。
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