何もない? - 2008.07.10 Thu
コンサートの仕事では常にピアニストと調律師である程度のやり取りがあるものです。
昨日のコンサートの仕事はここ数年ご指名いただいているピアニストなのですが、最初の頃はこれでもかというほど、いろんな注文を言われ、なにをどうすれば良いのか試行錯誤ばかりでしたが、この何回かは何にもないのです。
何もない? 良いことか、悪いことか?
昔、先輩調律師に聞かされたことがありました。
ある有名なピアニストが地方にやってきて、その先輩が担当したのですが、細かくうるさいと有名なピアニストで、覚悟していたらそのときは全く何も注文が出なかったそうです。
先輩はホッとされ、満足げに家路につかれたということですが、それから数ヶ月後、友人からこのときのピアニストの話が出てたまげたそうです。
「○○ホールのピアノは大変だったよ。これ以上悪くされたら弾けないから、何も言わなかったけれど、、、」
つまりそのホールのピアノを見てその管理している調律師のレベルがわかるとのこと。
それで、指示をして作業をしてもらっても理解できなくて、これ以上弾きにくい状態にされたら本当に弾けなくなるから、今の状態に慣れて本番に持っていこう、ということだったとのこと。
先輩は大変ショックでしばらくは立ち直れなかったと言われていました。
いくら技術といえども最後は人間同士のコミュニケーションですから、何か反応があれば
次につながるのですが。
といろいろと言いながらでも、次の仕事もまだがんばらねば。
● COMMENT ●
たいへんですね。
Re: 何もない?
コンサートはその場での一発勝負。
難しいです。
そして長年仕事をさせていただいていると,だんだん見えているつもりが見えなくなっているのかもしれません。
年月とともに感性も変化し、体力も変化し、経験でなんとかカバーできていくものでしょうか。
でも"一生懸命”は伝わっていくと思っています。
本当にお久しぶりですね。
またお越し下さい!
難しいです。
そして長年仕事をさせていただいていると,だんだん見えているつもりが見えなくなっているのかもしれません。
年月とともに感性も変化し、体力も変化し、経験でなんとかカバーできていくものでしょうか。
でも"一生懸命”は伝わっていくと思っています。
本当にお久しぶりですね。
またお越し下さい!
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ピアニスト、ピアノ、ホール、調律師、観客…、これらのバランスが取れて初めてすばらしい演奏になるのだと思います。
調律師さんが良かれと思ってもピアニストはそう感じないこともあるでしょうし、観客もまたしかり。
去年聴いたニコライ・トカレフの演奏はすばらしいものでしたが、調律(調整かな)はペケでした。
妻と、あれじゃわざわざ海外から来て演奏してもらってるピアニストに失礼だよねと会場を後にしました。
もちろんアンケート用紙にはコメント残しました。
ただニコライ自身が不満足だったのかは知るよしもないですが。
何も言わないというのは、最後の抵抗でしょうね。
僕もそういうあきらめの境地に立たされることもありますね。この職場はひどいなと。
ほんとうはそれではお互いに建設的ではないので良くないですが。