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ベヒシュタイン トロピカル仕様 隠れた技Vol.1 - 2008.10.05 Sun





あまり聞き慣れない言葉だと思います。
ピアノのトロピカル仕様。

3年前にある方の紹介で、古いお屋敷にピアノが置いてあるというので、一度見てもらえないかということで伺いました。
この日がダメなら2~3日中に屋敷ごと取り壊すので、絶対この日と指定されて行ってみると、すすけたピアノがホコリまみれになって、音が出ない状態で置いてありました。

鍵盤蓋のホコリを払いロゴをよく見るとC.BECHSTEINとなっています。
これはベヒシュタインですよ!

でも今まで見たものと何かが違う?
木目もホコリで真っ黒になっていて、その外装にいくつも突起物が、、、
それはネジでした。
是はもしかして、スタインウェイの工場にいた時見たものと同じような、トロピカル仕様?

鍵盤や中のアクションを見るとまさしく、トロピカル仕様でした。
東南アジア向けの湿度の高い地域用ピアノでした。
当時華僑などアジアの貴族、お金持ち用に作られていたそうです。
そのからくりは後ほどじっくりと写真で説明します。

すぐ運送屋さんの手配をさせていただき、オーバーホールさせていただきました。

このお屋敷におられた方が80年ほど前にドイツへ行って買って持って帰ったというもの。
当時の接着剤は膠(ニカワ)を使っており、(今でも一流メーカーは音として肝心な部分は膠で接着しています)今と違ってボンドはありませんでした。

利点はいろいろあります。
詳しくはこちらで。

最大の欠点は湿気。
湿度が高いとニカワが溶けて接着が剥がれてしまいます。
それを防ぐための技の数々。

隠れた技1
アクションの全ての接着部分を糸で縫って補強してある。


DSCN5206.jpg
ハンマーバットと呼ばれる部品で、皮、フェルと、クロスなどが接着されています。
その部分が剥がれないようにしっかりと縫ってあります。

DSCN5208.jpg

ダンパーフェルともしかり。
あえてこの時代のものを残して修理しました。


DSCN5207.jpg

そして皮などは真鍮ビスを打ち込んでいます。

DSCN5209.jpg

そして圧巻は緑色に見えるテープの部分です。
通常これは布製でできています。
一カ所だけちぎれていたので交換しようとして切ろうとしても切れませんでした。
よく見ると(写真では見にくいです)細い真鍮の糸を編み込んで、切れにくくしていました。

次回は
隠れた技2
木部をなるべく使わず、真鍮にしている。
をお届けします。

ピアノの全容はこちら


お楽しみに!

● COMMENT ●

Re: ベヒシュタイン トロピカル仕様 隠れた技Vol.1

このピアノは、荒木さんに出会った事で蘇ったのですね。
もし、荒木さんにお話がなければ、もし、タイミングが悪ければ…。
このベヒシュタインは、幸せですね!
人の出会いも同じですね。

Re: ベヒシュタイン トロピカル仕様 隠れた技Vol.1

なぜかタイミングの良いピアノがうたまくらに来るような気がします。
縁あって来るのですから、次の縁をしっかりと作って渡したいですね。
もうすぐ出来上がりです。
是非弾いて感想をお聞かせください。


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32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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