自己満足の怖さ - 2008.03.13 Thu
やっと、グロトリアン-シュタインヴェッヒの修理が終わりました。
そこで完成したものを今度の楽器企画に出すために、最終確認も含めて歌枕に弾いてもらいました。
まず、返ってきた言葉が「これだったら普通。楽器から湧き出るものが無い!」
正直ショックでした。
「普通」という言葉が一番こたえます。
ここは普通ではない、と思っています。
でも冷静になって考えてみると、
1.最初のひどい状態からここまで復活させたという、自己満足
2.とにかくある程度鳴るようにした整音技術としての、自己満足
3.外観がきれいになったことでの、ピアノ全部がきれいになったという、自己満足、錯覚
4.忙しい毎日の中で時間を作って、一生懸命やったという、自己満足
いつもこういう風に歌枕の一言で、最終段階でハッと振り返らさせてもらえるのです。
1.よく考えてみると、アクションの動きや鍵盤がスムーズに動くことは当たり前。今ひとつ機敏でない。
2.よく考えてみると、グロトリアンの特徴である、柔らかくても透き通る音が出ていない。
3.よく考えてみると、きれいになっても、34年は経っているピアノ。中の状態を改めて冷静に見ると微調整が必要なところがいっぱい。
4.忙しさに関係なく、自分の中での基準をクリヤーしていれば満足していただけたものを、忙しさということで出来具合を差し引いていました。
技術者、職人が陥りやすいこと、自己満足。
もしくは妥協。
この助言をもらえることはどれだけ大切なことかが、いつも身にしみています。
言われなくても早くできるようにならねば。
再度言われたことの確認と、もう一度このピアノから光るものを発揮できるかを考え、再度作業したら、どんどん良くなる法華の太鼓。(これも自己満足?)
とにかく今の段階での最良を出しました。
展示販売楽器でチェックして、
http://www.utamakura.co.jp/piano/tenji/tenjigaki.html
是非弾きに来てください。
● COMMENT ●
トラックバック
http://arakipiano.blog43.fc2.com/tb.php/28-954b9f41
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)