音作り 原点に帰って - 2008.03.01 Sat
決して技術的なことを言いたいのではありません。
ピアノ調律師として行う仕事は、ピアノ作りの中で言えばアフターフォローに過ぎません。
製作段階で音色の要素の大部分が作られていくので、最後に残されたお客様の家で見る仕事はそう多くはありません。
でも考え方次第で、音作りにどこまでかかわるかは、意識の持ちようだと思います。
ヨーロッパ時代に体感した音
1.街の音 石作りの建物、石畳があり、車のクラクションの良く響くこと。そして窓越しに気持よく歌を歌うおばさん。
2.家の中の音 石作りの部屋で、何もかもが響く環境。床も石なので水拭き。靴の音。
3.空気の乾燥 これによって良く音が通ります。鳥などの声がよく聞こえます。
こういう中にピアノの音がありました。
それはそれは甘い音で、輪郭もしっかりしていて、芯もある。
弾き方でいろんな変化がつけられる音色のピアノ。
反面、嫌な音が出るとすぐに注文が来ます、「もっと透き通った音にして!」
これはメーカー問わずでしたが、こういう普段の生活の中から生まれてくる音というのがあります。
ヨーロッパがすべてではないと思っていますが、多かれ少なかれ技術力だけでは語れない部分があるのでないかと感じています。
あるメーカー(ドイツ)の整音する部屋は、よくある残響が少なく音源がよく聞き取れる部屋、ではなくて、一般家庭の作りに似たくつろいだ空間でした。
そこでジャズを弾き、クラシックを弾きながらコーヒーを飲みながら音を作っていきました。
生活の中にとけ込んでいるものを感じてこそ、そこでの音作りができるのではないかと思っています。
ヨーロッパなどでは音作りの歴史がありますが、日本ではまだまだ提案型でできるのではないでしょうか。
昔で言う日本家屋はすきま風が多い、というのは今はあまり無いと思います。
日本の環境も大変良くなってきています。
でも弾いている人も、調律、調整している人も ”いい音を作る” に関しての意識が薄いように感じます。
世界中のすべてのメーカーを聴く、知るということは不可能ですが、意識を持てばピアノ以外からもいろんな要素を吸収できるのではないかと思います。
いかがでしょうか。
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