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プロジェクトXに出なかった話Vol.2 - 2010.04.15 Thu

前回の続きです。

スタインウェイに追いつけ追い越せのヤマハが当時取った手法は、スタインウェイの整音者の引き抜きでした。
楽器の良さは最終、音が出てからでないとわからない世界です。

その中で、判断として、音作りの最終出口の作業、整音に秘密があると判断しました。
二人のドイツ人技術者はフルコン用、小さいピアノ用の整音者で、日本に呼び作業をさせました。

そして、二度とスタインウェイには帰れない彼らは、最後はハンブルクにあるヤマハのショップに帰りました。
体の大きいドイツ人の彼らには、硬いだけのヤマハのハンマーは針を刺しすぎて、よくパンクさせてしまいました。








スタインウェイのハンマーなら弾力があり、ちょっとの事ではハンマーが膨れ上がりパンクなどしません。
ここで、ハンマーの違いも浮き彫りになりました。

しかし、彼らの整音したピアノは日本人には無いものを持っていました。
輝きのある教会の鐘の音で、日本のお寺の鐘ではありませんでした。

一番良い時代の最高の完成されたピアノの整音をやっていた彼ら、その音が基準でした。

私がスタインウェイで研修していた20年前、その時に整音を教えてくれた技術者も数年後にヤマハに行っていました。
材料の品質がヨーロッパの最高には追いついていなかったので、ヤマハもフルコンにはすべてレンナーハンマーが使われていました。

次はレンナーのハンマー製作者の引抜です。
でもこれは結果失敗に終わりました。
それはドイツで作らせたハンマーを日本へ船便で持ってくるときに、ことごとく湿気で駄目になりました。
原因を追究しないうちに、作った者が悪いということですぐに解雇。
もう少し作らせて試していれば、結果が違っていたかもしれないと先輩技術者は悔やんでおられました。

ヤマハは何でもできた時代だったそうです。
これらから、何を学んで、活かしたかは私は分かりませんが、何世代も超えていくピアノを作っていって欲しいと願うばかりです。

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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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