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ピアノが弾けない、、、。 - 2010.08.06 Fri

出張中に伺ったあるピアノの先生、U様。

この5月、6月とご主人、お母さまを亡くされ悲しみに暮れていらっしゃるとのこと。
今回の調律もその話を聞いて難しいかな、と思いましたが、U様の希望で「いつまでも悲しんではおられません、生徒たちにも教えないといけないので、調律をしっかりとしてください。」
でも生徒に対しては教えることができても、どうしても自分では弾く気になれないと言われます。
そして、生徒に対して今弾けない状態で自分の演奏に自信が無く教えると言うことは申し訳ない、と言われていました。

こういうことに対しては、慣れと言うものはありません。
人それぞれ違う人生を生きて、違う感覚を持っているわけですから、ましてやその方の気持ちなど自分が思う以上のことが渦巻いておられるのだろうと、推測するのが精一杯です。

その中で今回調律に呼んで頂いたことを考え、「自分に何ができるのか?」と思ったわけです。
でしゃばると言うことではなく、何をU様に感じていただけるのだろうと考えました。





ピアノを弾くと、ご主人がそばで聴かれていたのを思い出すとのこと。
そして、演奏に対して色んな意見を言ってくれたそうで、それがすごく励みになったそうです。
だからまだ弾けない、、、。

気持ちは分かります。

それではご主人の気持ちになっていただこうと思い、でしゃばって「下手ですが、一曲弾いてもいいですか?今の私の気持ちが音楽、ピアノを通して伝われば嬉しいのですが。」と申し上げて、簡単な曲を弾かせていただきました。
それはこの3ヶ月弾かれずに眠ってしまっていたピアノにもう一度触れていただきたいと言うことと、このピアノから出る音色、音楽でU様の気持ちが穏やかになっていただきたいという気持ちを込めました。


2分少々の曲ですが、U様が涙を流され、椅子から立ち上がれなくなっていました。
「荒木さん、ありがとう。こんな穏やかな気持ちになったのは主人が亡くなって初めてです。今私が聴いているこの椅子で主人がいつも聴いてくれていました。主人の気持ちが分かったような気がします。また、人に聴いてもらうために何が必要かも教わった気がしました。これで再開に向けて頑張れる気持ちになりました。ありがとうございます。

弾くのは決して上手ではありません。
でも心を感じると言うことはそれ自体相手に伝わっていくのだと言うことを教えてくれたような気がしました。

次回の再会が楽しみです。

● COMMENT ●

荒木さんの想いが…

荒木さんの、深い想いが伝わってきました。さすがです。
このブログを読ませて頂いて、私事ではありますが、父を亡くしてしばらく、何を歌っても何を弾いても涙が出て、歌えない、弾けない時期がありました。それは、時間が経てば状況を自然と受け入れられるようになるという事と、自分でのりこえようとする意思が必要なのだと思いました。
自分なりに前向きに生きていけば、きっと父も喜んでくれるかしらん?

Re: 荒木さんの想いが…

妹尾様
そうですね。乗り越えようとするとき、ちょっとした後押しとなる音楽、ピアノがあるということは幸せなことではないでしょうか。
私も、家族が亡くなってから分かってきた部分があるとおもいます。
前向きに行きましょう!


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Author:arakipiano
32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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