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撤去!サイレント 2. - 2010.08.26 Thu

P8250014.jpg
サイレントを外している途中ですが、至る所の材質の悪さが見えてしまいました。
このように鍵盤からはささくれがいっぱいあります。
鍵盤を触っていてトゲが刺さってしまいました。
昔はこんなことなかったのですが。





P8250013_20100826000630.jpg
一本だけでなく、全体にこのような感じです。
一本一本、このササクレを取りました。

また、最初にピアノを触ったときに、音が止まりにくいところがありました。
その原因は
P8250017.jpg
真ん中の真鍮の部品、アグラフといいますが、弦が通る穴が3つ開いていて、本来なら等間隔に開いていないといけないのが写真のように真ん中の弦が左寄です。
弦溝に左右同じ厚みのダンパーフェルトが入るのですが、右側が広いため、フェルトとの間に隙間ができて、つまり弦がフェルトに接触していないため、弦が鳴りっぱないという止音不良になっていました。
加工技術は昔から素晴らしかったのに。
手を抜いているのか、そういう精度に落ちてしまったのかわかりませんが、残念です。

これらしっかりと直して、サイレントがなくなったピアノを弾くと、何かしら、気持ちの良い音で柔らかく透き通った感じがしました。

生の楽器は人間の手入れが必要ですね。
痛感しました。

M様は違う楽器になったと喜んでくださいました。

アコースティクよ永遠に!

● COMMENT ●

なるほど・・

なるほど、鍵盤の部分でしたか
この画像と同じかはわかりませんが、家にいた子も側面の見えるところでも??と思うところがありました。
サイレントを付けたからそれ以外の部分でコスト削減でのこの鍵盤の状態だったら、サイレントを取り付けるために支払ったものはなんだったんだろう?結構な金額プラスしたのなぁ。う~ん。

私も今はアコースティック万歳♪な状態なので、過去は振り返らずG3姫を育ててまいります。じゃじゃ馬にならないためにも、末永くお力お貸しくださいv-266

そうなんですか。実は、

ちょっと前、出掛けがてら立ち寄った国産K社のショールームに、内部構造の展示資料として鍵盤一つ分の機構部分が置いてありました。グランドとアップライト、中身はこういう構造になっているんだ~と関心しながらも、それらの木製部品のあちこちには同じ様な「ささくれ」が。展示用サンプルだから手間を掛けないのだろうけど、それでも紙やすりを少し掛けて見栄えを良くすればいいのにな~と、そのときは思っていたのですが、現実のピアノでも中身の程度はさほど変わらず?オドロキでした。

時計のたとえは、言い得て妙でした!調律、調整が不要(というより、その前に寿命?)な電子ピアノは、さしあたり、お手頃なソーラー電波時計というところでしょうか。私も常用していますが。。。

Re: なるほど・・

Sewingmamaさま
サイレンとはそもそも鳴らなくてよい楽器なので、鳴らさなければいけないアコースティックと違いますね。
国産メーカーの最初からサイレントが付いていた小さいアップライトは響板がベニヤでした。
これにはたまげました。

サイレントの時の方が音がよかったです。笑

Re: そうなんですか。実は、

うさま
実は今度レンナー社(ドイツのアクションメーカー)からアクションモデルを取り寄せる予定です。
どんな感じで作っているか見ものです。
でも、今は夏休みで、来週にならないと職人が出てきません、とのことでした。笑。

こんな風に・・

荒木さん、お久しぶりです☆みかんぴあのです。

ピアノの木がささくれてるのはなぜですか?
たまたまこのピアノがそうなのですか?
それとも全体的にそうなっていますか?

もし、全体的な質の低下だとすれば
荒木さんは「なぜそうなった」と思われますか?
また、対象法はありますか?

急にいっぱい聞いてすみません。。お時間のおありのときにでも教えて頂けると嬉しいです。

Re: こんな風に・・

みかんぴあのさん

鋭い質問をありがとうございます。

> ピアノの木がささくれてるのはなぜですか?
製造工程での、粗さです。
昔と比べてこういう状態でもOKがでているということです。

> たまたまこのピアノがそうなのですか?
> それとも全体的にそうなっていますか?
いいえ、同じ時代のものはこうなっていると思っていただいてもよいと思います。


>
> もし、全体的な質の低下だとすれば
> 荒木さんは「なぜそうなった」と思われますか?
材料のコストダウンと製造者の意識の低下だとおもいます。

> また、対象法はありますか?
ないと思います。
しいて言えば、作る人が意識を高めていけば直っていくかもしれませんが、一人では無理です。
会社全体の方針が必要だと思います。

昔の加工状態と比べると、見た目ではわかりにくいですが、確実に低下しています。
残念なことですね。
若い技術者は高い意識でやっていると工場の後輩が言っていましたが、こういう若い人を増やしていって欲しいと思います。

TBさせていただきました

荒木さん、こんにちは。
記事をTBさせていただきました。

単なる一主婦の私が書いているブログなので、
無知や失礼な点があると思いますが、
広い心で受け止めてくださると幸いです。

ちょっと考えてしまいました

先日、通販でお手頃なハイチェストを買いましたが、裏側も、もう少しましな仕上加工だったような。
楽器なら当然のこと、工業製品としても「こういう状態でもOKがでている」と言うのは、品質管理がまるでなっていない!のでしょうか?仮に、加工担当者の意識の低下があろうとなかろうと、品質基準をクリアしないものを次の工程に出しては困ります。(加工の基準そのものがない?まさか...)製造業において、品質は企業の経営戦略の重要項目なので、解決には、荒木さんがおっしゃるように「会社全体の方針が必要」になりましょう。
近年の品質管理においては、品質とは顧客満足度であるとされているので、購入者の鋭い評価・フィードバックが「質の向上」にきっとつながると思います。

Re: TBさせていただきました

みかんぴあのさん
ご訪問ありがとうございました。
どうぞ、TBしてください。
他にも利用出来るものがあれば、どうぞ。

ちなみに、調律士ではなく調律師です。

Re: ちょっと考えてしまいました

うさんのおっしゃるとおりです。
コストダウンによる品質低下、品質低下による作業員の意識の低下、最終音として出てくる物に対しての責任の低下。
例を挙げるとキリがないのですが、この分では韓国、中国に負けて当然です。
そうならないようにこれからも声を上げていきたいと思います。

国産頑張れ!
ニッポン!!!


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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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