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変身!BOSTON - 2010.12.07 Tue

15年目ぐらいのI様のボストンピアノです。
経年変化での具合が限界になってきました。
そこで、しっかりと一日かけた調整を行いました。
PC060002.jpg

購入後10年経たないくらいから弦が切れだしたそうで、その対応として、高音の弦を全て交換されたそうです。
しかし、、、

写真のように弦がしっかりと定位置に張られていません。
幅もまちまち、この分ではソフトペダルを踏んでも音色はバラバラ。
でもこのような弦配置を直すためには、ハンマーの弦溝もきれいに直さないといけません。
弦の配置をもう一度しっかりと定め直して、ずらしました。
また、ヒッチピンのところで弦が浮いてしまっていました。
これらを全て、やり直しました。

そして、もう一つ大変なことが、、、





音色がめちゃくちゃ硬いのです。
ハンマーに爪を立てたらカッチカチがよくわかります。
PC060003.jpg
ハンマーを柔らかくするため、針を刺します。
とにかく硬いハンマーでした。
ボストンは最初の数年は柔らかくてまろやかな音がしていますが、実は中がカチカチです。
数年で、その硬い部分が出てきます。
音が割れて、音圧が凄く、耳が疲れてきます。
それらをほぐします。

あとは綺麗に弦溝を消すためのファイリングも行いました。

PC060005.jpg
そして、もう一つよくある症状として、ダンパーワイヤーがささっている、ガイドレールのクロスが締まっていて、ダンパーが首吊り状態になってしまうことです。
つまり、ダンパーが下がらず、音が止まらない。
このピアノも、何箇所も首をツリそうな状態のものがありました。

応急処置で、ダンパーヘッドをグリグリやってください、と言いましたが、根本的には治らないので、ダンパーを外して、穴を広げます。
するとスコスコと動き出します。
残りのアクションの整調を行い、音色も最後に整えて、仕上げます。

PC060006.jpg

このI様のピアノはやればできる(反応する)素晴らしいピアノです。
それを引き出していないと、単なる弾きにくいピアノだけになってしまいます。
そうならないように、これからはしっかりと見させていただきます。

● COMMENT ●

弾いてきましたよん♪

今日、荒木さんのご用命どおり…屋根全開にて講師演奏予定(本番まで20日あまり)のごにょごにょを弾いてきました。
以前はスケールをさらりと弾こうと思っても難しいピアノでしたが、今日はとりあえず1曲弾ききることが出来ました。結果は…音色のコントロールには至らず、もてあそばれて終わってしまいましたが(^^;)
荒木さんに調律してもらっている3人が集まってましたから、いろんな話が出ましたよー。くしゃみ出ませんでした?

Re: 弾いてきましたよん♪

くしゃみどころか、寝込んでいました。

ボストンという楽器は慣れないと難しいと思います。
スタンダードではないですね。そのかわり、いったんてなづけたら面白いピアノだと思います。

いろんなピアノを弾いて感性豊かにしていってください。


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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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