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新品YAMAHA C3の一日調整 - 2011.02.22 Tue

M様のお宅での一日調整です。
今年の1月にヤマハC3を購入されました。
購入する前から、調律、調整は私に、と頼んでくださっていました。
それで気合を入れて、しっかりと調整、整音して、弾いていただこうと思い、朝一番から張り切っていました。

2~3週間前に調律に伺った時、その時の時間では調整しきれないので、改めて調整する日を設けさせていただいて今日になったのです。

分解していくうちに、だんだんと「なんじゃこりゃ?」というところがいっぱい見えてきました。
ちょっと昔まで、ここまでひどくはなかったのに、これはどこで作っているのだろうと思ってしまいます。
P2210007.jpg
このモケモケのハンマー。
これではppがぼやけてはっきり聞こえません。
音の輪郭がありません。
しかし、強く叩くと音が割れてしまいます。





P2210003.jpg

そして、ハンマーを持ち上げてびっくり。

P2210008.jpg
指で差しているフェルトは、ハンマーが取り付けられている棒(シャンク)が乗っかる部分で、ボンドで接着されています。
しかし、この一つだけでした、しっかりと付いていたのは。

P2210009.jpg
他の87個は全て接着不良で、取れかかっているものもありました。
いつからこんなに雑になったのでしょうか。
もしくは、接着を少なくする意図があったのでしょうか。
機械で付けているのか、人間の手でいい加減に付けているのか。
まさか、しっかり貼られているのが当たり前なので、付いていないということでのチェック体制は無いと思うのですが。

全て、ひとつずつ接着しなおしました。


P2210004.jpg


P2210005.jpg
ハンマーのテールも、記憶ではこのギザギザはつい最近までこのような加工ではありませんでした。
もっとなだらかで、この面でキャッチする皮(バックチェック)に優しいものでした。

40年以上前のヤマハのハンマー交換をしたとき、このようなハンマーになっていて、ハンマーをキャッチするバックチェックの皮が擦り切れて穴が空いていました。
この時と同じだと思い、また繰り返すのかと、首をかしげたくなります。
キャッチできる程度のざらつきを残すまで、このギザギザを削りとって、整形しなおしました。

P2210012.jpg
この時点で、私の計算していた作業時間が狂っていました。
どこかで挽回しないと。

P2210014.jpg
鍵盤のホールの掃除、ブッシングクロスの掃除。

P2210015.jpg
膨らんでいる鍵盤の調整。

P2210016.jpg
バランスピンの位置修正。
V字に開いている右隣の鍵盤が正常。
その他は全てピンが奥に傾いています。
シーソーの支点がずれていてはいけません。

今日行った作業は
・掃除
・整音(針刺し、ファイリング、三弦合わせ)
・整調一通り
・ダンパー関係
・ピアノの位置決め(力強いM様と180度回しました)エアコンの風と照明の関係。

出来上がったものは素晴らしいピアノでした。
音の鳴りは柔らかく鮮明できれいで、タッチも敏感でいろんな変化に対応ができます。

しかし、ここまでにするために、出来上がったピアノに施す作業が多すぎます。
製作段階で今のピアノ作りには反映されていないというのが、なんと残念なことでしょう。
ヤマハは日本を代表するピアノだと思っています。
フルコンだけでなく、一般へ普及するピアノこそ、しっかりと人間の手で、心を込めて作っていって欲しいと思います。
弾く人は心を込めて弾くのですから。

P2210017.jpg

M様、きれいに仕上がったこのピアノを親子で、育てていってあげて下さい!

● COMMENT ●

いろいろ見えてきますね!

え~!?だって、C3は“1台ずつ匠の手作業により~”ってY社のHPにも書いてあって、
楽器を新調するならC3!みたいな話を知り合いから聞いていたところなので...
これは、感性どうこより前の、寸法・精度の話、いやそれよりもっと前?
新車がそのままオーバホールに直行!状態で納車されたらお客様はお怒りだと思うのですが。

いつもお世話になっています。
我が家は、昨年11月納品のC3です。うちのもこうなんでしょうか?非常に気になります。
確かに、ハンマーはモケモケっぽいです。
ハンマーテールは、鍵盤を抜けないので見えませんがテールの反対側はすべすべに見えます。
来月の調律時、このHP見せて調律師さんに聞いて見ようかな。
気を悪くしますかね。
Y社の本社に国産と確認を取って購入したのですが。
shigeru kawaiの方が良かったのでしょうか?

Re: いろいろ見えてきますね!

うさま
手作業の基準が違うのかも知れません。今と昔とで。
今回普通に戻すという作業が中心でした。
昔は普通から、より良い状態へという作業だったのに。
でも、基本はお客様が満足できるピアノに仕上げるということです。

Re: タイトルなし

アルさま
国産という基準は難しいようです。
ほとんどを外国で作っても、ある部品を日本で取り付けたら、Made in Japanになるそうで、これは違法ではないそうです。
調律師さんにこの記事をプリントして見せるのはおやめになったほうが良いと思います。
出来るならご自身の目で確かめることをおすすめします。


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32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
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