広島の大先輩 - 2008.01.29 Tue
今日と明日、広島の仕事に来ています。
ここは10数年前からお世話になっているピアノ技術者の大先輩がいらっしゃいます。
私より20年上で、この業界を引っ張ってこられた方です。
昭和40年頃の調律師時代の話、
まだ、ピアノはそれほど一般大衆化されていなく、裕福な家庭の持ち物だったそうで、ピアノもそれだけ無いということはまだ調律師も少なく、5~6人のメーカー調律師で4~5県を見ておられたそうです。
そして調律後には料金を頂くのですが、いくらとは聞かれないそうで、事前に聞いている金額+αを和紙に包んでいただいたそうです。
つまりチップですね。
その頂き方もお茶の作法とかで扇子の上に包みを乗せて、頂いたらそのセンスを閉じて、、、
全く知らない世界です。
そして間もなく高度経済成長と、ピアノの大量生産が始まるのですが、この先輩はピアノが売れ出す前の時代から、今までこの仕事をやってこられて悔いは無い、と言われていました。
良い時代も、つらい時代もピアノを通して見てこられて、後仕事ができて4~5年と言われています。
まず目が見えなくなってきて細かな整調ができない、これが一番つらいとのこと。
言われた作業が頭の中ではわかっていても、見にくいために精度が甘い。
つまりお客様の要望に応えられなくなって来たということです。
でも悔いは無いと言われています。
「今でも食べていけるお客様はいる、これが全財産なんです。」
自分で後何年できるか、ということを考えたことはありません。
延々とできそうな気がしてなりません。
でも年齢には勝てない時期がきっと来るということを、先輩はおっしゃってくださいました。
自分の財産はこれだというものを、しっかりと考えていかなければと思った、大切な日になりました。
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