嫁入り - 2012.03.05 Mon
3年前にオーバーホールをしたピアノの嫁入り先が決まりました。
40年前のピアノ、BECHSTEIN ベヒシュタインのグランドです。Made in WestGermanyです。
1971年というと私はまだ7歳、その時にできたピアノです。
冷戦まっただ中の時代。
もう少し大きくなって歴史の勉強をやりだした頃、世界は西と東にわかれていて、、、
文字だけのことでは私の頭の中には何も残りませんでした。
その15年後にドイツ、ベルリン行くことがあったのですが、東西の違いは雲泥の差でした。
住んではいないので、その過酷さはわかりませんが、東ベルリンに行く機会があり、駅で飲んだ生温くて、炭酸の少なく薄味の東ドイツ製コーラの味は忘れられません。
その数年後壁は崩壊します。
そして、すぐベヒシュタインの工場研修に行く機会が出来ました。
工場の窓から見えるのはあの「ベルリンの壁」でした。
崩れかけていますが、はっきりと残っています。
壁の向こうは東。
こういう環境で作られていたのか。
研修当時技術を教えてくださった工場のマイスター・カーナツ。
怖くて、厳しくて、目が一重で、まゆが10時10分で、話しかけるのも勇気が入りました。
そのマイスターから、いつも怒られた時に言われたこと
「Das ist Bechstein」「これはベヒシュタインだ。」
ベヒシュタインの技術を誇りに思い、ベヒシュタインからズレた技術は許さない。
ベヒシュタインという王道を身につけない。
マイスターはその時で定年前でしたので、この1971年製のピアノの頃はバリバリの技術者だったのではないかと思います。
陸の孤島と言われたベルリンで黙々とピアノ作りをされて、昔からの伝統を守り続けていました。
このピアノが作られていたのは、一番良い時代だったのかもしれません。
オーバーホールをしている途中、いろいろとピアノと会話をしていました。(心の中で)
分解して、きれいになっていき、音が出始めて、柔らかいタッチが作られていく過程がなんとも充実していました。
今回このピアノを見初めてくださったのは中学3年生の女の子です。
今どこにでもあるキャンキャンした金属的な音が嫌い。
最初は鳴らせ方を知らず、弾くのがかなり難しそうでしたが、一言ひとことアドバイスをすると、スーッときれいに音が出だします。
この柔軟さとそれに答えるピアノの取り合わせに感動しました。
ようやくお嫁入り先が決まった。
うれしい瞬間でした。
お嫁入りするまで、まだしばらく工房にありますが、しっかりと見守っていきます。
40年前のピアノ、BECHSTEIN ベヒシュタインのグランドです。Made in WestGermanyです。
1971年というと私はまだ7歳、その時にできたピアノです。
冷戦まっただ中の時代。
もう少し大きくなって歴史の勉強をやりだした頃、世界は西と東にわかれていて、、、
文字だけのことでは私の頭の中には何も残りませんでした。
その15年後にドイツ、ベルリン行くことがあったのですが、東西の違いは雲泥の差でした。
住んではいないので、その過酷さはわかりませんが、東ベルリンに行く機会があり、駅で飲んだ生温くて、炭酸の少なく薄味の東ドイツ製コーラの味は忘れられません。
その数年後壁は崩壊します。
そして、すぐベヒシュタインの工場研修に行く機会が出来ました。
工場の窓から見えるのはあの「ベルリンの壁」でした。
崩れかけていますが、はっきりと残っています。
壁の向こうは東。
こういう環境で作られていたのか。
研修当時技術を教えてくださった工場のマイスター・カーナツ。
怖くて、厳しくて、目が一重で、まゆが10時10分で、話しかけるのも勇気が入りました。
そのマイスターから、いつも怒られた時に言われたこと
「Das ist Bechstein」「これはベヒシュタインだ。」
ベヒシュタインの技術を誇りに思い、ベヒシュタインからズレた技術は許さない。
ベヒシュタインという王道を身につけない。
マイスターはその時で定年前でしたので、この1971年製のピアノの頃はバリバリの技術者だったのではないかと思います。
陸の孤島と言われたベルリンで黙々とピアノ作りをされて、昔からの伝統を守り続けていました。
このピアノが作られていたのは、一番良い時代だったのかもしれません。
オーバーホールをしている途中、いろいろとピアノと会話をしていました。(心の中で)
分解して、きれいになっていき、音が出始めて、柔らかいタッチが作られていく過程がなんとも充実していました。
今回このピアノを見初めてくださったのは中学3年生の女の子です。
今どこにでもあるキャンキャンした金属的な音が嫌い。
最初は鳴らせ方を知らず、弾くのがかなり難しそうでしたが、一言ひとことアドバイスをすると、スーッときれいに音が出だします。
この柔軟さとそれに答えるピアノの取り合わせに感動しました。
ようやくお嫁入り先が決まった。
うれしい瞬間でした。
お嫁入りするまで、まだしばらく工房にありますが、しっかりと見守っていきます。
● COMMENT ●
おめでとうございます
父親気分
嬉しいような、淋しいような、でも見初められて得意なような…フクザツな心境です。
Re: おめでとうございます
うさま
すぐにはお嫁には行きません。もう少し工房にいたいって言ってますから、あと2ヶ月ほど面倒を見ます。
次に合う時が最後だと思います。
お楽しみに!
すぐにはお嫁には行きません。もう少し工房にいたいって言ってますから、あと2ヶ月ほど面倒を見ます。
次に合う時が最後だと思います。
お楽しみに!
Re: 父親気分
中島様
中島さんもある意味思い出のあるピアノだったのではと思います。
もう少しいますので、次のセミナーの時が最後かもしれませんね。弾いてあげて下さい!
中島さんもある意味思い出のあるピアノだったのではと思います。
もう少しいますので、次のセミナーの時が最後かもしれませんね。弾いてあげて下さい!
おめでとーーございます!!
お嫁入りが決まったようで!聞いたときは素直に嬉しかったです!!僕も思い入れがあるピアノですが、またあのピアノが新たな歴史を刻む事になって嬉しいです! 工房も少し寂しくなるでしょうか?
Re: おめでとーーございます!!
橋bookさん
思い入れありますよね。これからは別の場所でずっと見させていただくことになります。長いおつきあいになっていきます。
そういう仕事ができて嬉しいです!
思い入れありますよね。これからは別の場所でずっと見させていただくことになります。長いおつきあいになっていきます。
そういう仕事ができて嬉しいです!
トラックバック
http://arakipiano.blog43.fc2.com/tb.php/509-295d4731
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
次にお伺いするときは、ちょっとがらんとした工房でしょうか?