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YAMAHA C5 真夏のオーバーホール1 - 2012.08.26 Sun

ある先生から依頼のオーバーホールを行なっています。
この夏、とにかく暑いです。
お盆を過ぎて涼しくなるどころか、いつまで続くのこの暑さ!
作業を行う気力が落ちないようにやっています。

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C5クラスになると弦も長く、響板も大きくなるためやはり低音の厚みは満足度が上がってきます。
もちろんお部屋の広さに合っていないと、うるさいだけになるので注意が必要ですが、オーバーホールの大きな特徴として、最後にお部屋に合った音作りができるとということです。
出来上がった新品ピアノや中古ピアノを調整の幅があまりない中、お部屋に何とか合わせようとするのには限界があります。

その点最初の土台から作り上げていくオーバーホールは、お客様の好み、お部屋の感じ、などを考え部品選びからでき、より細やかな作業ができるため古いということに関係なく繊細なピアノに仕上がります。

何台も作業を行なってきて、あらためて新品以上の出来と、お客様の満足度に手応えを感じます。




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弦を全て取り外し、鉄骨を降ろし鉄骨の掃除、響板の掃除をします。

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響板の状態はすこぶる良好。
きれいです。
しっかり拭き掃除をします。

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鉄骨を止めているネジの頭が曇っているので、磨いてピカピカにします。

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張弦開始。
ジャッキで棚板、ピン板を固定します。

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今回の一つのこだわり、中音の弦枕がオリジナルはボール紙にクロスを巻いたもの(下の赤い弦の跡が付いたもの)ですが、高音と同じ(スタインウェイと同じ)厚みのあるフェルトに変えました。
弦の滑り、圧着が変わります。

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中音のまでの張弦が終わり、巻線を張る前に、中音の止音フェルトを編みこみます。

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巻線の張弦
巻線は打ち込む前に一回ねじります。
T型ハンマーにチューニングピンをセットして弦を入れてコイルを作ります。
ピンをピン板に打ち込む前にねじってから打ち込みます。

P8210059.jpg
張弦完了。
完了前にはコイルの巻口調整、コイルの密着、駒への密着、ピッチ上げ、など細かな作業がいっぱいあります。
どんな作業でもそうですが、メイン作業の準備と仕上げの作業が大切です。
次回はアクション関係です。

● COMMENT ●

巻線

巻線は打ち込む前に一回捻じるのは、撚りが緩むのを防ぐためですか?

外見は一緒でも中身は別物なんて、市販車ベースの競技用車両みたいですね!

ト音記号

追伸)弦で作ったト音記号、僕もほしいです!次回の工房月間のまでに1回はいきますので…。

「新品以上の出来とお客様の満足度に手応え」
……
めちゃめちゃ気になります。
どんなコかお目にかかりたいです。実際に体験しないと良さがわからないです。

Re: 巻線

うさま
銅線の巻いてある方向に一回ねじります。
それは音色のためです。
そのままだと何かの拍子でジンジンと変な音が鳴り出します。
国産メーカーはやってない場合も多いのですが、ヨーロッパの方では標準のようです。

多分この内容に反応してこられるかな!と思っていました。笑

ト音記号は今度作りましょう!

Re: タイトルなし

中島様

是非出来上がったらお知らせしますので、一度弾いてみて下さい。
きっと見方が変わると思います。
お楽しみに!

浜松から帰ってきました。

国産メーカーとヨーロッパメーカーの間には、ピアノの調整や修理の方法などに若干の違い(考え方やフィーリングなど)あるのでしょうね。Y社で今回教えて頂いた調整の結果出来上がる鍵盤のタッチ感は明らかにS.T.Wとは違う様に感じました。何より自分の中に1つでも多くの引き出しを持って、色んな場面に対応できる様になりたいです。また、いろいろ教えて下さいね。

Re: 浜松から帰ってきました。

べっちさん
是非、工場での様子を教えて下さい。
引き出しの中身をどの場面でどのように使うかが一番難しいです。引き出しがひとつでも大変ですが。笑

また是非工房にお越しください。

出来上がり

(大阪に行く用事があるどうか不明ですが)
僕にも出来上がりをこっそりメールで教えてください。
よろしくお願い致します!

Re: 出来上がり

うさま
一応9月末に納品予定なので、20日以降には仕上がるようにしたいのですが。
またご連絡いたします。


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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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