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オーガストフェルスター ドイツでのこだわり修理 - 2013.01.08 Tue

昨年からお預かりしている修理で、80年以上経っているオーガストフェルスターのグランドピアノアクションです。
S様がチェコに留学中大変気に入られて購入して持って帰った来られたピアノです。
向こうでは当たり前のようにこのような古いピアノがいっぱい使われています。

普通に部品の交換を行なっていくのと今回はちょっと違う、こだわりの修理をお客様とお話して決めました。
80年前の部品が今は手に入りません。
また、マイナーなメーカーなので、販売台数も多くなく、オリジナルのアクションの設計がメジャーにはならなかったので、現在は作られているモデルではありません。

すると必然的にその当時からの部品を極力直すというやり方以外ありません。
もしくは自作する。

ハンマーの木部の形とフェルトの厚み、そしてハンマーシャンクの素材の良さから、このハンマーウッド自身にフェルトを巻いてもらう修理をしようという選択を取りました。
この修理はドイツでしか行われていないため、ドイツのハンマー工場に送ってやってもらいました。
8年前にうたまくら茶論にある120歳のベヒシュタインのアップライトの修理の時も同じやり方を行いました。
古い部品が蘇ります。

P1040007.jpg
完成してドイツから送られてきたハンマーアッセンブリー





もともとは年数が経っているということもあり、フェルトの消耗も激しく木で弦をたたいているところもありました。
この写真のローラーも皮の部分がぺちゃんこになっています。
こうなるときれいな抜けが期待できません。
ローラーを交換します。
3枚_4

また、この皮も消耗が激しいです。
3枚-4

ハンマーフェルトを機械で巻くとオリジナルの接着(ニカワ)部分に負担がかかることもあり、接着がはがれてしまうことがあります。
そういう確認作業も含め再接着をニカワで行います。

修理完成した新しいハンマーフェルトとローラー(天然鹿皮)です。
ハンマーが円運動しているところの軸の部分の消耗もあるので、そこはこちらで修理します。
P1040008.jpg

ピンを抜いて、クロスを取り除き
P1050009_20130106013025.jpg

クロスを通して
P1050010.jpg

切断し
P1050011.jpg

接着します。
P1050012.jpg

このセンターピンが入っていきます。
P1050013.jpg

これら88個接着し、組み立てていきます。
P1050014_20130106013101.jpg


ピアノの本体へ組み込んだ後整音を行いますが、どんな音が出てくるか非常に楽しみです。

● COMMENT ●

88個

素朴なところで質問ですが、88個、均一な仕事ができる集中力は、何が源になっているのですか?やはり、完成したときにどんな音が出てくるか!でしょうか。

Re: 88個

うさま
人間の集中力はそんなにもたないものです。
ピアノって様々な部品があるため、毎回違った内容が待っています。
常に新鮮な気持ちでむかえるので大丈夫です。
まあ、眠くなるような作業もありますが。笑

あけましておめでとうございます(遅い?)

5,6年前にドイツの2大ハンマーメーカー、アベルとレンナーの社長さん(?)の講演会を聞きに行ったことがあります。レンナーの方は物理的な話ばかりでチンプンカンプンでしたが、アベルの方は羊の飼育や羊毛キューティクルの話などをされて興味深かったです。そのアベル社が、歴史的な鍵盤楽器を再生する時にシャンクやハンマーウッドを当時の形同様に作成するのが困難な場合、ウッドをそのまま再利用してフェルトのみ新しいのを接着するとおっしゃってました。その映像も見せていただきました。
私たちは、現在の完成されたピアノだけをピアノだと捉えてしまいがちですが、現在にまで繋がるピアノの歴史やその楽器たちにも耳を傾けたり触れたりする事で、より深くピアノを理解できたり新しい発見があったりするのでしょうね。そのために、歴史的なピアノを当時のままに再現しようと努力されている方の働きはとても大切なことだと思います。

Re: あけましておめでとうございます(遅い?)

べっちさん
こちらこそ今年もお願いいたします。
いろんな選択肢がある中、そのピアノにベスト、お客様にベストなものを提供しなければいけないと思います。
選ぶ難しさ、面白いですね。
またいろんな話を聞かせてください。


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Author:arakipiano
32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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