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ブリュートナーの鍵盤修理 - 2013.11.20 Wed

1930年製のブリュートナーがやってきて、鍵盤部分だけ仕上がっていなかったので、その修理を行いました。
戦前のピアノに多くあることですが、鍵盤の裏側にクロスが張ってあります。
金属の棒が鍵盤に刺さっていてその金属が当たる部分にクロスが貼ってあります。
これが通常のピアノですが、ブリュートナーは違いました。

PB130001.jpg

クロスの代わりに皮が貼ってあります。
しかもかなり薄く柔らかい皮です。
80年という歳月がその皮を硬化させ、縮まらせ、金属との接触の感触が引っかかっていました。




また、そのピンの形状も普通ではありませんでした。

通常のフロントピン
P1250008_20131120012602321.jpg
中心部分が膨らんでいて、線でクロスに接触している形です。

ブリュートナーのフロントピン
PB130002.jpg
真っ平らで接触部分が面になっています。
この接触部分を全て薄い皮で受け止めていた形です。
皮が劣化して悪くなっていると、鍵盤の弾き心地も抵抗が多くなり、ひっかるような感じでした。

これをクロスに変更しました。
接触面は広くなりましたが、スムーズな動きを確保出来ました。


しかし、失敗というか予想外のこともありました。
鍵盤のピンが刺さる穴は通常より狭くなっていたのです。
それは薄い皮が貼ってあるため、穴が狭くなっていました。

この狭くなっていることに気づかず、皮より厚いクロスを貼っていくとかなりきつくなっていることに気づきました。
いくら潰しても鍵盤が下がったまま上がってこないという事になってしまいました。
通常の何倍もの調整時間がかかってしまいました。
でも仕上がった感触は素晴らしいものでした。

PB130004.jpg
チューニングピンのところの鉄骨はくり抜きで、表面には真鍮のプレートがあります。


低音の伸びやかな、芯のある響きはアップライトのそれではありません。
ヘタなグランドより鳴っていて、驚かされるピアノです。
タッチの感触も含め体感していただきたいピアノです。

● COMMENT ●

タイムリープ

素朴な興味ですが(笑)
荒木さんが何かのはずみで1930年代にタイムリープしてブリュートナの工場に入ったとしたら…うたまくらの技術だとどういうことが起きるでしょうか?当時の人間に教える側?それとも教わる側?

Re: タイムリープ

うさま
基本の技術は100年以上前から変わっていません。当時の教科書を使用するときもあるくらいです。
しかし、その時代の材質に合ったやり方があるので、そのやり方を知らなければ教えてもらう方になるのでしょうか。
うたまくらの技術なんてピアノの歴史の中の、現在だけ通用するほんの点のようなものですから。


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32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
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