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タッチが重いアクションの修理 - 2014.01.10 Fri

新年明けましておめでとうございます。
今年もピアノに関するより良い情報発信を心がけてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、昨年末からこの年始にかけて、同じような仕事が3台入ってきました。
それはグランドピアノのアクション修理です。
どのような内容かというと、とにかくタッチが重いということで持ち主が何とかして欲しいというご依頼です。

原因として考えられるのは
1.湿気でアクション部品のクロスなどが膨張し鍵盤、各稼働部品の摩擦が大きくなって、重く感じる
2.弾かなくなって、ハンマーが経年変化でふやけて表面が柔らかくなってしまい、モヤモヤした音になって、重く感じる。
3.鍵盤のクロスとそれが当たる金属部分の摩擦抵抗が大きくなって、引っかかった感じになり重く感じる。
4.工場出荷時点で鉛調整ができていないので、各鍵盤がバラついているため弾きにくく感じてしまう。

アクションを全てばらし、各部品の動きを確かめてみました。
フレンジの摩擦抵抗を測るはかりで確かめてみると、通常3〜4gで動くものが、10g前後もあり倍以上の重さに変わっていました。
P1050003.jpg






ピンを抜いてリーマーで穴を広げ、新しいピンを刺します。
これを88個行い、3列あるので×88鍵、264個作業を行います。
これでスムーズなアクションの動きが確保出来ました。
これからようやく整調や鉛調整ができます。

1台はボストンピアノでタッチのキレがいまいちです。
これは湿気の修理を終えても無理でした。
もう一つの原因、鉛調整がきちんとできていませんでした。
鍵盤の下がる重さはある程度決まっていましたが、それに対して鍵盤が上がる重さが、バラバラでした。
上がる重さとのバランスを見て、もう一度下がる重さを割り出し、全鍵揃えました。
これで弾きやすくコントロールしやすくなりました。

アクションの納品時も、本体に合わせてのいろんな調整がありました。
アクションを全てバラバラにしているので、組み直した時に本体との一番良いポジションに合わさなければいけません。
土台から合わせて行って、最後にきちんと整音をして出来上がりました。

弾いていただくとストレス無い動きと軽さに驚かれていました。
これが本来の姿です。
この状態を長く保っていただくためにも、管理のアドバイスもさせていただきました。

正常な状態に戻す修理も大変重要な仕事と心新たに取り組んでいます。

これからの1年体を壊さずやっていきたいと思います。
またどうぞ、工房に足をお運びください。

● COMMENT ●

先のセミナを思い出しながら記事を読んでいました。
整調や鉛調整に行くまでにやるべきことがいっぱい…。

タッチを言葉で表現すると…の中間を一気にとばして
「何とかして欲しい」
これに尽きるのかも知れませんね!
調律師さんは、そうは言われても…でしょうが、そこから一つ一つ読み解いていくのが技なのかも。

Re: タイトルなし

うさま
おっしゃるとおりです。最後の鍵盤を触った感触だけの表現なので、それを技術者がどことつなげていくのか、これで誠意が見えますね。(金額も変わります、笑)
セミナーの成果があったということで良いでしょうか。


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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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