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昭和35年シュベスター - 2015.04.29 Wed

昭和35年のSCHWESTER(シュベスター)の調律に伺いました。



O様の奥様が子供のころに買って使われていたとのことで、大事に使われていた様子がうかがえます。
お部屋の隅に置かれている状態を見て、すぐにううん?と思いました。
それはエアコンの下に90度の角度にピアノが設置されていたことです。

冬場の暖房の状況をお聞きすると、このエアコンを使われているとのこと。
低音を確認すると極端に狂っているところが何か所もあります。
これはきっとエアコンの温風による乾燥した風が、ピン板を乾燥させてチューニングピンの刺さっている穴が広がり、保持力を無くしてしまった状態だとすぐわかりました。

ピアノの位置を変更してエアコンからの直風を避けるか、暖房のやり方を変えてエアコン以外のものにするか、を次の冬場になるまでに考えていただくことになりました。



今回調律の保持をなんとか保たせるためにはチューニングピンをできるまで打ち込むという応急処置を施しました。

やわらかいところでは金槌で打ち込むとズボッとめり込みます。

この状態が進めばチューニングピンを太いものに交換するオーバーホールが必要になる、というお話もさせていただきました。

もう一つ、温風が当たっていたであろう低音部分の鍵盤蓋が上面下面で接着がはがれています。

これは引き取り修理となりました。

工房で圧着します。

55年鳴り続けているシュベスター。
このモデル54はレンナーアクションが搭載されていて、見事な状態でした。

湿気で動きが悪くなっている部分はあっても、それ以外はまったく問題ないのです。

先日伺ったBERTON(ベルトン)をお持ちの叔父様とのことで、こういうピアノとの出会いのご縁を感じます。

昭和の高度成長の前の時代、しっかりと手造りをしている当時の職人の立派さを時間が経ってあらためて証明されていると感じています。

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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
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