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便利さの裏にあるもの - 2016.05.11 Wed

渾身の演奏をして録音しました。
その録音を一度聴いていただけないでしょうか、と言われました。
その理由はホールで弾いた響きと、録音した自分の演奏を聴いて、かけ離れているように聴こえるのはどういう理由か教えてほしい、ということでした。

ホールは1000人入る規模のホールでピアノはスタインウェイのフルコンサートグランド。
曲はバッハの平均律。
聴いた音源はスマートフォンの録画機能で撮ったものでした。
それを小さな小さなスマートフォンのスピーカーで聴かれていたのです。
これ以外の環境では聴いたことがない、という点に違和感を覚え、お話しを伺いました。

本物のピアノの音と、そのスピーカーから出てくる音との差は歴然でした。
録音をしたものが、現場で聴いたものを捉え、全て表すことができる、という思い込みが原因でした。
録音するマイク、録音する機械、をれを聴くスピーカーでオリジナルの音からはかけ離れたものになっていきます。
つまり作られた音。

便利な世の中になって、いつでもどこでも録音録画ができる時代です。
音楽も簡単に持ち歩け、生演奏を聴く機会が減ってきました。
今の環境からどんどん手軽で便利な方向へと進んでいます。
便利さは悪いとは思いませんが、本物はどういうものかという基準をしっかりと持っていないと、便利さに消された基準で感性が出来上がってしまうということを知って、考えさせられた出来事でした。

本物のピアノの音を的確に自分の言葉で表現される感性をお持ちの方なので、ちゃんと方向性を見定めれば大丈夫だと思います。
本物を聴いて基準を作る、大切なことです。

● COMMENT ●

録音録画は昔に比べて本当に便利になり、レベルも上がったと思いますが、音の出口のスピーカが逆に軽薄短小化で結果お粗末な音になっているように思います。ピアノ屋さんでも、素晴らしい音を出しておられるようで是非聴いてみたいお店に限って、動画や録音をアップしてくれない、お店まで来て聴いてください、という傾向が強いような。

Re: タイトルなし

TAKEさん
やっぱり本物の生の音を聴いてしまうと、録音の音は聴けないですよ。
聴かれる環境でまったく別物になりかねないので、出すのをためらう所もあるでしょうね。
便利さは怖い一面もあることをよ~く知っておかないと。


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Author:arakipiano
32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
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