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好きだから続けられる - 2017.03.17 Fri

先日100年近く経ったグランドピアノのピン板交換修理をしたピアノの納品に東京まで行きました。
無事調整も終わり納品が完了しました。

ピン板は調律をするためにチューニングピンをまわすので、経年変化と使用による劣化で消耗品となります。
ピアノメーカー、時代、機種などでいろんな構造のものがあります。
それをそっくり再現する技術は設備と経験が無いと難しいものです。



その修理をやっていただける日本唯一の工場、シュベスターピアノのエスピー楽器製作所(静岡県磐田市)。
交換修理直後の調整と、納品後のお礼時に工場に伺いました。
この時ちょうどシュベスターピアノの最後の新品製造をおこなっておられました。
なぜ最後かというと、ピアノで使われる鉄骨の在庫が最後になったそうです。





ピアノが売れない時代、ピノ工場も無くなり、大手も海外に移ったりして浜松に20くらいあった製鉄所(鉄骨)がなくなったとのこと。
鉄骨がなければピアノは作れません。
岩本社長は「日本ではピアノが作れなくなった。非常に残念。」と言われていました。
最後のアップライトは、残り2台の出来上がったピアノの音を聴いてその場から離れなくなった小学生のご家族が購入されたとのこと。
このピアノよりもっと良い物を作るぞ、と思ってされているそうです。



私が一日ピアノの調整をしている間に、最後の鉄骨に穴を開け、ピアノ本体に鉄骨を乗せたり外したりして駒の高さを決め、駒の加工などを一気にされていました。
このムダの無い動きとスピードに感心して見ていましたが、岩本さんは75歳という年齢で昔は今の3倍動けたとのこと。




3週間後にもう一度伺うと岩本社長が開口一番、
「鉄骨を作ってくれるところを見つけたよ!」
「新品はもう作れませんと言うのは悔しいから、なんとかまだ続けたいから。ただ、新品の受注が無いと鉄骨注文できないけどね。」
と笑って嬉しそうにおっしゃっていました。

そして
「海外の古いピアノの修理を頂いて行いながら良いエッセンスを吸収できているんです。」
「今は本当に幸せなんですよ。好きな仕事がこの歳でできること、続けられることが。」
「好きだから続けられるんですよ。大変だけど好きだから。」




「これを次に伝えることは課題ですが。」
と言われますが、ある使命感を持った方の言葉は大変重く、意味深く感じます。
好きだからどんなことでも辛抱できる、前を向ける、と理解して自分のことにも当てはめて帰路につきました。

● COMMENT ●

使命感

末尾の締め括りの言葉がとても重いですね。
国内でピアノの修理ができる環境が続くことを願って!

Re: 使命感

うさま 本当に続けていけるように、この業界を次の世代に繋げられるようにやっていきます。


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Author:arakipiano
32年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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