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「湿気による不具合の実例とその処置の実演」技術セミナー終わりました  - 2018.08.01 Wed

先日「湿気による不具合の実例とその処置の実演」の技術セミナーが終わりました。
今回なぜこの内容にしたか、それは業界が推奨している潤滑剤が湿気の修理の場面で思うような結果にならない、もしくはより悪くなるということが多々あり、使い方なのか症状に合ってないのか。それでも使い続ける技術者がいて、ピアノがどんどん悪くなる状況を長年見て来たので、是非検証しなければと思ったからです。



日本という国の気候はピアノが生まれたヨーロッパやアメリカと違い、どうしても湿度が高いです。
この高い湿度で不具合が起きているピアノが山ほどあります。
その修理を長年やってきて、良いと言われているいろんなやり方を検証しました。

この仕事をやって35年、今まで行ってきた湿気で悪くなったピアノに対しての作業が間違いではなかったという結果になりほっとしました。

ピアノの部品は様々ですが、主に木部と繊維の接触するところが、湿気による膨張で隙間がなくなり摩擦が大きくなって動きが悪くなります。

ピアノによっては樹脂部品を使っています。
長期間で加水分解してしまう樹脂部品にも有効なのか。
硬い動きに対して潤滑剤を使うのか?


動きが悪くなった時に起こる症状として、
鍵盤関係
・鍵盤が重い
・鍵盤の戻りが遅い、 鍵盤が上がってこない
・連打が効かない

音 関係
・音が止まらない、または音が残る
・打鍵の力が遮られてしまうため音量が出ない
・ppが出ない
・音がこもる

その他
・ペダルが効かない
・ソフトペダルで鍵盤をずらすのにペダルが重い、戻りが悪い。

*これらの症状は他の要因でも起こる症状です。

つづき→




ピアノいろんな関節部分がこの摩擦によって動きが制限されタッチ、音などに影響します。
この部分に潤滑剤を使うことにより、摩擦を少なくして対応するための潤滑剤はいろんなものが出ています。
はたしてこの潤滑剤は良いのでしょうか。

結論
・摩擦が大きい箇所には潤滑剤は逆効果。
なぜなら油分が蒸発して油に混ざっている配合物が繊維に残り、ただでさえ窮屈な接触部分に付着したまま動きを制御してより重くなってしまいます。

・適度な摩擦の箇所には潤滑剤は有効です。
しかし、この適度な摩擦を悪いと判断するのかといえば、殆どの場合良好範囲内と判断して対応はしない場合が多いです。
かなり硬い動きのものに対して潤滑剤を使うというのが一般的です。



何が一番良い方法か。
・潤滑剤を一切使わず、穴を広げるなどの方法で摩擦を減らす修理。
・繊維部を水アルコールで縮ませて乾かし摩擦を減らす修理。

この修理方法は有名メーカーも推奨しているものですが、手間ひまかけて行うため、潤滑剤を使って短時間でさっと仕上げることはできませんが、確実に長い期間良い状態に保つことができます。

最後になによりも直したピアノをまた状態が悪い方向にならないようにするため除湿を徹底するという根本的な啓蒙が必要です。

● COMMENT ●

渾身のデータ取り!

夏休みの自由研究ならば、努力賞表彰もののデータ取りでした。
鍵盤を弾くたびに金属のピンが軸受けのクロスで磨かれているので、金属(メッキ)の粉がクロスの表面に貼りついて固まって…となっているのでしょうか。一度、クロスを抜いて顕微鏡で見てみたいものですね。
あと、摩擦を減らすこととガタの発生は紙一重なのに、ちょっとびっくりでした。

Re: 「湿気による不具合の実例とその処置の実演」技術セミナー終わりました

うさま
顕微鏡クラスは面白いですね。その前にいろんな潤滑剤の成分がわからないと。


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Author:arakipiano
35年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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