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残念なこと 最終 - 2007.10.26 Fri

今回でこのピアノに関しての記事は最後にしたいと思います。

今までの経緯
まずはお客様にピアノの状態が良くないまま、お待たせしてしまったことを謝り、このピアノに対して精一杯の調整、音作りをさせていただきました。


以前指摘されていた鍵盤のスムーズな動きの調整、他アクションの調整後、改めて鍵盤の重さを測ると以下のような結果が出ました。
グラム数の意味は数字の範囲内で徐々に軽くなっていると言うことではなく、そのセクションでバラバラに混在していると言うことです。

低音白鍵 67g~57g
低音黒鍵 68g~65g

中音白鍵 60g~50g
中音黒鍵 64g~55g

次高音白鍵 55g~50g
次高音黒鍵 60g~50g

高音白鍵 63g~50g
高音黒鍵 62g~50g

全体で50g~67gの差があり黒鍵が極端に重く、50gの白鍵のすぐ隣に60gの黒鍵があるという、きわめて不自然な鍵盤重さのピアノの状態が、改めて浮き彫りになりました。

これについてはお客様に現状を申し上げて
1.この状態は鉛調整をしないとアクションの調整だけでは、バラツキの差は無くならない。
2.これをメーカーに言っても購入特約店サイドで、うやむやにされてしまう恐れがある。
3.この状態を購入特約店技術者に言っても、これは通常の範囲だと言われればそれまでで、それがメーカーまで上がって行かない。

つまりこの状態を解消するには、こちらサイドで鍵盤鉛調整をやらなければならない、と言うことです。
お客様もピアノの症状をしっかり把握された上で判断されることと思います。

調整の内容は一般的なことのため省かせていただきます。

そして、音の立ち上がりの状態が、非常にもやもやしているとのことでしたので、とにかく、ふやふやの表面を弦溝を落とさずきれいにしました。
写真参照。
イメージ 1

右2個のハンマーの表面の毛羽立ちを取り除いたところ。
左はオリジナルのまま。これですと、特にppのときに毛足が弦にまとわりつき、音の頭がはっきりと出ません。


調整して感じたこと。
最初、工業製品としてのきれいさは感じるが、楽器としてのぬくもりは感じませんでした。
でもそこに少しでも誠意を持って手を入れることで、音楽を奏でる楽器になることを実感しました。
それを弾き手は望んでいるということも。
なぜなら楽器は木は生きていますから。


最後に、お客様に対しては何を信用していただいて良いか、どういう状態のピアノが理想であり、それに近づけることができるか、ということをはっきりと言いきれる仕事をやって行きたいと思います。

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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
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