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気付き 黒鍵 - 2023.01.09 Mon

2023年を迎えました。
年末から年始にかけて行っていた作業のひとつでスタインウェイの黒鍵上部部位の交換です。
なぜこの作業を行なったかというと、お客様から「同じスタインウェイでもホールのピアノの黒鍵を弾いている時の方が指が乗りやすく落ち着いて弾きやすいのに、自宅のはなぜ黒鍵から指が落ちやすいのでしょうか?」と聞かれ答えることができませんでした。
「同じメーカーで年代も近くて鍵盤会社も同じなのに黒鍵のサイズが違うなんて考えられないですよ。」と話しましたが、どうしても弾いた感じが違うのですということで、部品の誤差なのかどうかを調べるために新しい黒鍵(黒檀)を手に入れてサイズを測ることにしました。



するとどうでしょう!

もちろん指で触るところは鍵盤上面がほとんどです。
その部分の幅を測るとなんと、0.2mm違いました。
これは誤差の問題ではなく、明らかに広くなっています。
人間の指先はとてつもなく敏感というのは知っています。
ある職種でその道のプロは、作業が危険なので軍手をはめたまま指先で、平らな金属の厚みを見るのに0.15mmの違いがわかるそうです。

ピアニストの指先も鍵盤を触っていますが、普段弾いているピアノとそうでないピアノとの違いはすぐわかるのでしょう。

技術者の先入観で決めつけていたものの化けの皮が剥がれていった感じでした。
知らなかった!
声に耳を傾けなかった。
自分は知っているようで何も知らないということを思い知らされました。

そこからデーターを集め出してみると、メーカー、材質、年代、生産国でここまで違うのかというデーターが出てきました。
これからの修理にも大いに役立つ内容の蓄積ができてきました。

自分の先入観だけではなく耳を傾けるというのは大事なこととあらためて思いました。


納品後は
「そう!この感触なんです!」
と納得していただきました。

今年は見習生も入ってきます。
しっかりと伝えていくべき事は伝えて次の時代に通用する技術者を育てていきたいと思います。

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Author:arakipiano
38年ピアノ技術者として世界中のピアノを見てきました。
ピアノがピアノだけで終わらない、人とのかかわりの中で、心に残るいろんな出会いをご紹介していきたいと思います。
よろしくお願いします。

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